身体診察を継続したところ皮膚はやや湿潤。瞳孔径は両側5.0 mm で、対光反射は…
20 歳台の女性。意識障害のため救急車で搬入された。現病歴 : 自宅で倒れているのを友人が発見し、呼びかけても反応が乏しいため救急車を要請した。病院へ向かう途中で全身けいれんを認めたが、病院到着時は治まっていた。既往歴 : 不明生活歴 : 不明現 症 : 意識レベルはJCSⅢ-100。体温36.7 ℃。心拍数102/分、整。血圧90/50mmHg。呼吸数28/分。SpO2 89 %(マスク5 L/分 酸素投与下)。舌根沈下が強く下顎挙上してもSpO2 は改善しない。バッグバルブマスクによる換気も不十分である。
身体診察を継続したところ皮膚はやや湿潤。瞳孔径は両側5.0 mm で、対光反射は両側やや緩慢。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で肝・脾を触知しない。腸雑音に異常を認めない。腱反射は正常である。検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球462 万、Hb 12.9 g/dL、Ht 39 %、白血球11,300、血小板20 万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白7.1 g/dL、アルブミン3.8 g/dL、総ビリルビン0.8 mg/dL、直接ビリルビン0.2 mg/dL、AST 28 U/L、ALT 20 U/L、LD 160 U/L(基準124~222)、CK 120 U/L(基準41~153)、尿素窒素17 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、血糖92 mg/dL、Na 134mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 99 mEq/L。心電図は洞調律で、QT 時間の延長を認める。胸部エックス線写真で心陰影の拡大は認めず、肺野に異常を認めない。頭部単純CT に異常を認めない。来院した友人によると室内に大量の薬の空シートを認めたという。中毒物質に関する迅速簡易定性検査に用いられる検体はどれか。
- ⑴ 尿迅速簡易定性検査の尿中薬物スクリーニングキットは尿を検体とします。
- ⑵ 便便は中毒物質の迅速簡易定性検査の検体として用いません。
- ⑶ 喀痰喀痰は中毒物質の迅速簡易定性検査の検体として用いません。
- ⑷ 血液血中濃度測定は定量検査に用いますが、迅速簡易定性検査の検体は尿です。
- ⑸ 脳脊髄液脳脊髄液は中毒物質の迅速簡易定性検査には用いません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴です。部屋に大量の薬の空シートがあり、意識障害、けいれん、散瞳、QT延長を認めることから、薬物中毒が考えられます。乱用薬物などの迅速簡易定性検査(尿中薬物スクリーニングキット)は尿を検体として用い、ベンゾジアゼピン類、三環系抗うつ薬、バルビツール酸類、アンフェタミン類、コカイン系、大麻などを短時間で判定できます。偽陽性や偽陰性があるため、臨床所見と合わせて判断することが重要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成