迅速簡易定性検査で1 つの薬剤が検出された。服用したと考えられる薬剤はどれか。
20 歳台の女性。意識障害のため救急車で搬入された。現病歴 : 自宅で倒れているのを友人が発見し、呼びかけても反応が乏しいため救急車を要請した。病院へ向かう途中で全身けいれんを認めたが、病院到着時は治まっていた。既往歴 : 不明生活歴 : 不明現 症 : 意識レベルはJCSⅢ-100。体温36.7 ℃。心拍数102/分、整。血圧90/50mmHg。呼吸数28/分。SpO2 89 %(マスク5 L/分 酸素投与下)。舌根沈下が強く下顎挙上してもSpO2 は改善しない。バッグバルブマスクによる換気も不十分である。
迅速簡易定性検査で1 つの薬剤が検出された。服用したと考えられる薬剤はどれか。
- ⑴ コカインコカインは交感神経刺激で高血圧と頻脈を来しますが、本例は低血圧です。
- ⑵ アンフェタミンアンフェタミンは高血圧や興奮を来し、本例の所見と合いません。
- ⑶ 三環系抗うつ薬抗コリン作用とNaチャネル遮断によるけいれん、散瞳、QT延長が三環系抗うつ薬中毒に一致します。
- ⑷ フェノバルビタールフェノバルビタールでは呼吸抑制や縮瞳傾向、低体温がみられ、本例と合いません。
- ⑸ ベンゾジアゼピン系睡眠薬ベンゾジアゼピン系ではけいれんやQT延長は通常来しません。
解説
正解は⑶です。意識障害、けいれん、散瞳と対光反射の遅延、皮膚の湿潤、頻脈、低血圧、心電図でのQT延長を認めることから、三環系抗うつ薬中毒と考えられます。三環系抗うつ薬は抗コリン作用による散瞳や頻脈、Naチャネル遮断作用によるQRS幅の拡大とQT延長、心室性不整脈、けいれんを起こし、致死的となりうるため、心電図モニタリングと炭酸水素ナトリウムの投与が重要です。ベンゾジアゼピン単独ではQT延長や散瞳は来しにくいと考えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成