この患者の呼吸機能で予測されるのはどれか。
80 歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。現病歴 : 3 年前から労作時に息切れを自覚していた。6 か月前から咳、痰が出現し、1 か月前から坂道や階段を途中で休まないと昇れなくなったため受診した。既往歴 : 2 年前に閉塞隅角緑内障と診断されたが、以後、通院はしていない。生活歴 : 喫煙は40 本/日を60 年間。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 父が脳梗塞。現 症 : 意識は清明。身長170 cm、体重58 kg。体温36.2 ℃。脈拍92/分、整。血圧138/62mmHg。呼吸数24/分。SpO2 90 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。胸鎖乳突筋の肥大を認める。心音に異常を認めない。呼吸音は全体的に減弱しており、喘鳴を認める。両下腿に浮腫を認めない。検査所見 : 血液所見:赤血球460 万、Hb 13.7 g/dL、Ht 42 %、白血球7,600、血小板18 万。血液生化学所見:AST 22 U/L、ALT 18 U/L、LD 210 U/L(基準124~222)、尿素窒素16 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 97 mEq/L。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41、PaCO2 54Torr、PaO2 58 Torr、HCO3⁻32 mEq/L。胸部エックス線写真では、両側横隔膜の平低化および滴状心を認める。
この患者の呼吸機能で予測されるのはどれか。
- ⑴ 残気量減少肺の過膨張により残気量は増加します。
- ⑵ 肺拡散能増加肺胞の破壊により肺拡散能は低下します。
- ⑶ FEV1 % 70 % 未満COPDでは気流閉塞により1秒率が70%未満となります。
- ⑷ 静肺コンプライアンス低下肺気腫では弾性収縮力が低下し、静肺コンプライアンスは増加します。
- ⑸ 上に凸のflow-volume 曲線COPDのflow-volume曲線は下に凸のパターンを示します。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。長期の重喫煙歴があり、労作時息切れ、咳・痰、呼吸音の減弱、胸鎖乳突筋の肥大、胸部X線での横隔膜平低化と滴状心、高二酸化炭素血症から、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と考えられます。COPDは気流閉塞を特徴とし、気管支拡張薬吸入後の1秒率(FEV1%)が70%未満となることが診断基準です。肺気腫では肺胞の破壊により残気量が増加し、肺拡散能は低下し、静肺コンプライアンスは増加します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成