この患者の身体診察で、苦痛に配慮した適切な体位はどれか。
78 歳の男性。呼吸困難を主訴に救急車で搬入された。現病歴 : 昨日まで特に問題なく過ごしていた。深夜から急に喘鳴を伴う呼吸困難が出現したため救急車を要請した。既往歴 : 40 歳時から高血圧症、2 型糖尿病に対して内服治療を受けている。生活歴 : 喫煙は20 歳から50歳まで20 本/日、以後は禁煙している。飲酒歴はない。現 症 : 意識は清明。顔貌は苦悶様。身長165 cm、体重72 kg。体温36.5 ℃。心拍数128/分、整。血圧220/112mmHg。呼吸数32/分。SpO2 95 %(マスク5L/分 酸素投与下)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認める。心音は奔馬調律。両肺野にwheezes を認める。四肢は冷たく、浮腫は認めない。
この患者の身体診察で、苦痛に配慮した適切な体位はどれか。
- ⑴ 座位座位は静脈還流を減らし呼吸困難を軽減するため、急性心不全では適切です。
- ⑵ 仰臥位仰臥位は静脈還流を増加させ、肺うっ血と呼吸困難を悪化させます。
- ⑶ 右側臥位右側臥位では呼吸困難は十分に軽減されず、適切な体位ではありません。
- ⑷ 左側臥位左側臥位は心尖部の聴診などに用いますが、呼吸困難の軽減には適しません。
- ⑸ Trendelenburg 位Trendelenburg位は静脈還流を増加させ、肺うっ血を悪化させます。
解説
正解は⑴です。急激な喘鳴を伴う呼吸困難、著明な高血圧、頸静脈怒張、奔馬調律、両肺のwheezes(心臓喘息)から、急性心原性肺水腫(急性心不全)と考えられます。急性心不全の患者は、仰臥位にすると静脈還流が増加して肺うっ血が悪化し呼吸困難が強まる起座呼吸を示します。座位では静脈還流が減少し、横隔膜も下がって換気がしやすくなるため、苦痛に配慮して座位またはファウラー位で診察するのが適切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成