9 歳の男児。落ち着きのなさを心配した母親に連れられて来院した。周産期の異常なく…
9 歳の男児。落ち着きのなさを心配した母親に連れられて来院した。周産期の異常なく、在胎40 週、体重3,015 g で仮死なく出生した。活発で外遊びを好み、自由遊びが多い幼稚園では楽しく過ごしていたが、小学校入学後から落ち着きのなさに気付かれるようになった。授業中着席していることが難しく、外の物音に気を取られてすぐに教室を飛び出してしまう。学校からのプリントは持ち帰ってきたことがなく、教科書や筆記用具などをなくすことが多いという。本人に聞くと「学校は大好き、楽しい、算数と体育が好き」と話し、褒めると満面の笑みをみせる。脳神経、四肢の運動と感覚に異常を認めない。母親は不安のあまり毎日叱り続けているという。母への説明で適切なのはどれか。
- ⑴ 「お母さんのしつけの問題です」ADHDは神経発達症であり、しつけが原因ではありません。
- ⑵ 「指示は一つずつ伝えましょう」指示を一つずつ伝えることは、注意が逸れやすいADHDの児に有効な対応です。
- ⑶ 「自分で気付くまで放っておきましょう」放置しても本人が気づいて改善することは期待できません。
- ⑷ 「忘れ物をした時は好きな体育を禁止にしましょう」好きなことを罰として禁止すると自己肯定感が下がり、逆効果です。
- ⑸ 「もっときつく叱らないとこの子にはわかりませんよ」強い叱責は自己肯定感を低下させ、二次障害の原因となります。
解説
正解は⑵です。小学校入学後から着席困難、外の刺激に気を取られる注意の転導性、忘れ物や紛失物の多さがみられ、不注意と多動・衝動性から注意欠如多動症(ADHD)が考えられます。ADHDの児には、指示を一つずつ短く具体的に伝える、環境を整えて刺激を減らす、できたことを褒めるといった環境調整とペアレントトレーニングが有効です。叱責や罰は自己肯定感を低下させ、二次障害の原因となります。親の育て方が原因ではないことも伝えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成