83 歳の男性。腹痛を主訴に来院した。昨日昼過ぎから腹部膨満感が出現し、次第に腹…
83 歳の男性。腹痛を主訴に来院した。昨日昼過ぎから腹部膨満感が出現し、次第に腹部全体が痛みはじめ、今朝には激しい痛みとなったため受診した。意識は清明。体温37.8 ℃。脈拍140/分、整。血圧110/74mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。腹部全体に筋性防御を認める。腹部超音波検査で、腸管の拡張を認めた。腹部造影CT で上腸間膜動脈閉塞症の診断となり、緊急手術が行われた。腸管の壊死は、空腸・回腸の広範囲にわたり、回盲弁から10 cm 口側まで及んでいた。この壊死部分を切除し、血流の確認できた腸管同士を吻合した。この患者に予想される合併症で考えにくいのはどれか。
- ⑴ 下痢吸収面積の減少により下痢が生じます。
- ⑵ 脱水下痢による水分喪失で脱水を来します。
- ⑶ 肝障害長期の中心静脈栄養などにより肝障害を来しやすいです。
- ⑷ 腎結石脂肪吸収障害によりシュウ酸の吸収が増え、腎結石を来しやすくなります。
- ⑸ 甲状腺機能低下甲状腺機能低下は短腸症候群で典型的に予想される合併症ではありません。
解説
正解は⑸です。上腸間膜動脈閉塞症で空腸・回腸の広範囲を切除し、残存小腸が短くなっているため、短腸症候群を来すと考えられます。吸収面積の減少による下痢と脱水、電解質異常、栄養障害がみられます。また長期の中心静脈栄養による肝障害、脂肪吸収障害で腸管内のカルシウムが脂肪と結合してシュウ酸が吸収されやすくなることによるシュウ酸カルシウム腎結石も起こります。一方、甲状腺機能低下は短腸症候群で典型的な合併症とはいえないと考えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成