70 歳の男性。筋肉痛と頭痛を主訴に来院した。2 週間前から大腿と上腕の筋肉痛が…
70 歳の男性。筋肉痛と頭痛を主訴に来院した。2 週間前から大腿と上腕の筋肉痛が出現し、起床時のこわばりがひどくて寝返りも打てないため受診した。左側に拍動性の頭痛があり、食事をしていると顎の痛みが出てくる。体温37.2 ℃。左浅側頭動脈に結節状の腫脹と圧痛を認める。両側の上腕に把握痛を認める。四肢の筋力低下を認めない。関節に腫脹と圧痛を認めない。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球295 万、Hb 9.8 g/dL、Ht 29 %、白血球10,100、血小板38 万。血液生化学所見:総蛋白6.9 g/dL、AST 29 U/L、ALT 28 U/L、LD 178 U/L(基準124~222)、CK 66 U/L(基準59~248)、尿素窒素21 mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。免疫血清学所見:CRP 8.6 mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体陰性、MPO-ANCA 陰性、PR3-ANCA 陰性。胸部エックス線写真で異常を認めない。診断に最も有用な検査はどれか。
- ⑴ 脳波検査脳波は意識障害やてんかんの評価に用い、本疾患の診断には役立ちません。
- ⑵ 呼吸機能検査呼吸機能検査は本疾患の診断に寄与しません。
- ⑶ 針筋電図検査CKは正常で筋力低下もなく、針筋電図による筋炎の評価は不要です。
- ⑷ 血管超音波検査側頭動脈の超音波検査でhalo signを確認でき、巨細胞性動脈炎の診断に有用です。
- ⑸ 末梢神経伝導検査神経障害の所見はなく、末梢神経伝導検査は不要です。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑷です。高齢者の新規の片側性頭痛、顎跛行(食事中の顎の痛み)、浅側頭動脈の結節状腫脹と圧痛、炎症反応の上昇、貧血から巨細胞性動脈炎が考えられます。上腕と大腿の痛みや朝のこわばりは、合併しやすいリウマチ性多発筋痛症の症状です。診断には側頭動脈の超音波検査での壁肥厚(halo sign)が有用で、側頭動脈生検も行われます。失明の危険があるため、疑った時点で速やかにグルココルチコイドを開始します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成