生後24 時間が経過した。母親の母乳はまだ出ていない。患児は末梢静脈路で輸液され…
生後1 時間の女児。早産児として出生し、手術室で蘇生された。現病歴 : 母親は37 歳、初産であり定期的な妊婦健康診査を受診しており、前置胎盤を認めていた。在胎36 週1 日に性器出血のため救急車で搬入され、緊急帝王切開にて出生した。Apgar スコア6 点(1 分)、9 点(5 分)であった。新生児蘇生術が行われ、NICU に入院した。家族歴 : 特記すべきことはない。現 症 : 身長46 cm、体重2,400 g。体温36.8 ℃。心拍数160/分、整。血圧66/36mmHg。呼吸数 70/分。SpO2 91 %(room air)。大泉門は2 cm × 2 cm で開大している。軽度のチアノーゼを手と足に認めるが、口唇には認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音に異常を認めない。検査所見 : 血液所見:赤血球570 万、Hb 17.9 g/dL、Ht 50 %、白血球12,300、血小板25 万。血液生化学所見:総蛋白6.2 g/dL、総ビリルビン2.0 mg/dL、AST 28 U/L、ALT 16 U/L、血糖88 mg/dL、Na 133 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl97 mEq/L。CRP 0.2 mg/dL。静脈血ガス分析:pH 7.25、PCO2 68 Torr、HCO3⁻20 mEq/L。
生後24 時間が経過した。母親の母乳はまだ出ていない。患児は末梢静脈路で輸液されている。排尿を8 回認める。体重2,300 g。体温36.4 ℃。心拍数120/分、整。血圧84/42mmHg。呼吸数40/分。SpO2 97 %(room air)。活気良好である。チアノーゼは認めない。大泉門は開大し平坦。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。血液所見:赤血球610 万、Hb 19.2 g/dL、Ht 54 %、白血球10,500、血小板28 万。血液生化学所見:総蛋白6.6 g/dL、総ビリルビン5.2mg/dL、血糖92 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 99 mEq/L。CRP 0.3mg/dL。静脈血ガス分析:pH 7.38、PCO2 46 Torr、HCO3⁻22 mEq/L。母親の病室で病状説明を行ったところ、両親は児の体重が減ったことを心配している。適切な説明はどれか。
- ⑴ 「人工乳を開始します」体重減少は生理的範囲内で、現時点で人工乳を開始する必要はありません。
- ⑵ 「生理的な範囲内です」約4%の体重減少は生理的体重減少の範囲内です。
- ⑶ 「母乳が不足しています」生後24時間で母乳が少ないのは一般的で、母乳不足と判断する段階ではありません。
- ⑷ 「中心静脈栄養を開始します」全身状態は良好で、中心静脈栄養の適応はありません。
- ⑸ 「点滴の水分量が不足しています」排尿は十分で電解質も正常であり、輸液量の不足は示唆されません。
解説
正解は⑵です。新生児は出生後、細胞外液の排泄や不感蒸泄、哺乳量が少ないことから体重が減少し、これを生理的体重減少と呼びます。通常は生後3〜5日で出生体重の5〜10%程度減少し、1〜2週間で出生体重に戻ります。本例は2,400gから2,300gへの約4%の減少で、活気良好、排尿も十分で、電解質や血糖も正常であり、生理的な範囲内と説明するのが適切です。現時点で人工乳や中心静脈栄養を開始する必要はないと考えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成