40 歳の男性。全身の皮疹を主訴に来院した。この患者は2 か月前から新しい降圧薬…
40 歳の男性。全身の皮疹を主訴に来院した。この患者は2 か月前から新しい降圧薬の効果を検討する二重盲検化ランダム化比較試験〈RCT〉に参加しているが、1 週間前から全身に皮疹が出現した。意識は清明。体温36.6 ℃。脈拍60/分、整。血圧146/84mmHg。皮膚科を紹介したところ、薬疹の疑いと診断された。研究事務局に報告し、研究プロトコールに沿って、割り付けられていた薬を休薬することとなった。なお、この臨床試験の参加者は計画通りに集まり、患者登録は終了している。その後の手続きとして正しいのはどれか。
- ⑴ 臨床試験を中止する。1例の有害事象のみで試験全体を中止するのではなく、評価委員会が判断します。
- ⑵ 新たな対象者を補完する。患者登録は終了しており、新たな対象者を補完することはしません。
- ⑶ この患者から得られたデータは処分する。データの処分はバイアスを生み、有害事象の情報も失われるため不適切です。
- ⑷ 試験終了後も使用された薬は患者に非開示とする。試験終了後には割り付けを開示し、患者に使用された薬を説明するのが適切です。
- ⑸ この患者のデータは割り付けられた群のまま取り扱う。ITT解析の原則に基づき、割り付けられた群のまま取り扱います。
解説
正解は⑸です。ランダム化比較試験では、割り付けられた群の比較可能性を保つため、休薬や脱落があっても参加者を当初の割り付け群のまま解析するintention-to-treat(ITT)解析が基本です。有害事象で休薬した患者を除外すると、ランダム化の利点が失われ、バイアスが生じます。有害事象は研究事務局に報告し、試験全体の中止は効果安全性評価委員会が判断します。登録が終了していれば新たな対象者の補充も行わないのが原則です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成