85 歳の女性。左大腿骨頸部骨折で入院中である。2 週間前に人工骨頭置換術が施行…
85 歳の女性。左大腿骨頸部骨折で入院中である。2 週間前に人工骨頭置換術が施行された。病棟看護師から、容態が急変したと連絡があった。担当医らが直ちに病棟に駆けつけて蘇生術を行ったが死亡した。ベッド脇にいた看護師が「点滴の側管から誤って消毒薬を注入してしまった」と泣きながら説明した。左前腕部の点滴刺入部から肘部にかけての皮膚に、紫色の血管網がみられた。死亡確認後の対応で正しいのはどれか。
- ⑴ 家族には病死であると説明する。事実と異なる説明は虚偽であり、患者家族への誠実な説明義務に反します。
- ⑵ すぐに点滴を抜去して処分する。点滴は原因究明に必要な証拠であり、処分せずに保全します。
- ⑶ 24 時間以内に異状死の届出をする。医療過誤による外因死は異状死であり、24時間以内に警察へ届け出ます。
- ⑷ 心不全と記載した死亡診断書を発行する。事実と異なる死因を記載した死亡診断書は虚偽診断書作成に当たります。
- ⑸ 看護師には事実を話さないよう口止めする。口止めは隠蔽であり、医療安全と倫理の観点から許されません。
解説
正解は⑶です。消毒薬の誤注入による死亡は、医療行為に関連した明らかな外因死であり、医師法第21条の異状死に該当します。医師は死体を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署へ届け出なければなりません。予期しない死亡として医療事故調査制度による医療事故調査・支援センターへの報告も必要です。点滴などの証拠は保全し、家族には事実を誠実に説明します。虚偽の死亡診断書の作成や口止めは決して許されない行為です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成