73 歳の男性。胸痛、発熱および呼吸困難を主訴に来院した。3 日前から咳、倦怠感…
73 歳の男性。胸痛、発熱および呼吸困難を主訴に来院した。3 日前から咳、倦怠感、胸痛および発熱が出現した。今朝から胸痛が悪化し、呼吸困難も出現したため受診した。痛みは左側胸部から背部に自覚し、咳や深呼吸で増悪する。意識は清明。体温38.5 ℃。脈拍108/分、整。血圧132/68mmHg。呼吸数24/分。SpO2 92 %(room air)。心音に異常を認めない。左下肺野の聴診で呼吸音は減弱し、打診で濁音を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫は認めない。心電図に異常を認めない。胸部エックス線写真(別冊No. 2)を別に示す。最も考えられる疾患はどれか。
- ⑴ 気胸気胸では打診で鼓音となり、濁音ではありません。
- ⑵ 胸膜炎発熱と胸膜痛、呼吸音減弱と打診での濁音から胸水を伴う胸膜炎が考えられます。
- ⑶ 肺塞栓症肺塞栓症では発熱や打診での濁音は典型的でなく、深部静脈血栓の所見もありません。
- ⑷ 急性心筋梗塞心電図に異常がなく、呼吸で増悪する痛みも心筋梗塞に合いません。
- ⑸ 急性大動脈解離大動脈解離は突然の激痛で発症し、発熱が先行する本例の経過とは異なります。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。3日前からの咳、発熱に続き、咳や深呼吸で増悪する左側胸部から背部の痛み(胸膜痛)が出現しています。左下肺野で呼吸音が減弱し、打診で濁音を認めることから胸水貯留が考えられ、胸部X線でも左の肋骨横隔膜角の鈍化などの胸水の所見を示すと考えられます。発熱を伴うことから、肺炎随伴性胸水や膿胸を含む胸膜炎が最も考えられます。胸腔穿刺で胸水の性状を確認し、膿胸ならドレナージを行います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成