昨日と本日の胸部エックス写真を比較して、大きな変化は認められなかった。適切な治療…
17 歳の男子。胸痛を主訴に来院した。現病歴 : 昨日午後、高校の授業中に左胸部痛と呼吸困難を自覚し、当院を受診し、胸部エックス線撮影を施行された。一旦帰宅したが、本日朝になっても軽度の左胸痛が持続するため、再度受診した。既往歴 : 特記すべきことはない。生活歴 : 両親、大学生の兄と同居。アレルギー歴はない。現 症 : 意識は清明。身長182 cm、体重66 kg。体温36.5 ℃。脈拍80/分、整。血圧110/78mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96 %(room air)。心音に異常を認めない。検査所見 : 血液所見:赤血球500 万、Hb 14.9 g/dL、Ht 45 %、白血球8,300、血小板29 万。血液生化学所見:AST 21 U/L、ALT 18 U/L、LD 180 U/L(基準124~222)。本日来院時の胸部エックス線写真(別冊No. 6A)と胸部単純CT(別冊No. 6B)とを別に示す。
昨日と本日の胸部エックス写真を比較して、大きな変化は認められなかった。適切な治療方針はどれか。
- ⑴ 抗菌薬投与感染症を示す所見はなく、抗菌薬の投与は不要です。
- ⑵ 昇圧薬投与血圧は保たれており、昇圧薬の投与は不要です。
- ⑶ 外来で経過観察軽度で増悪のない自然気胸は、外来で経過観察とすることができます。
- ⑷ 気管支拡張薬吸入気道の閉塞性疾患はなく、気管支拡張薬の吸入は不要です。
- ⑸ 緊急胸腔鏡下手術初回発症で軽度、増悪もないため、緊急の胸腔鏡下手術の適応はありません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。自然気胸の初回発症で、呼吸状態は安定し、前日と本日の胸部エックス線写真で気胸の大きな変化(増悪)がみられないことから、軽度の気胸と考えられます。日本気胸・嚢胞性肺疾患学会のガイドライン(2025年時点)では、軽度の自然気胸は安静のうえ外来で経過観察とし、自然に再膨張するのを待つことが可能です。中等度以上や症状が強い場合は胸腔ドレナージ、再発例や空気漏れが持続する場合は胸腔鏡下手術を検討します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成