69 歳の男性。転びやすいことを主訴に来院した。10 年前から糖尿病でインスリン…
69 歳の男性。転びやすいことを主訴に来院した。10 年前から糖尿病でインスリン療法を行っている。3 年前から歩行時に前のめりになり転倒することが頻回になり、5 か月前に左上腕骨を骨折した。診察時、表情は乏しく、やや小声であった。眼球運動は上下方向に制限があり、筋強剛は頸部に強く認めたが四肢では軽かった。四肢の腱反射は正常で、Babinski 徴候を認めない。便秘もない。レボドパ〈L-dopa〉の内服による治療効果は認められなかった。頭部単純MRI の T 1 強調像(別冊No. 1A)とドパミントランスポーターSPECT(別冊No. 1B)とを別に示す。最も考えられる疾患はどれか。
- ⑴ Parkinson 病Parkinson病は四肢優位の固縮や安静時振戦を示し、レボドパが有効です。
- ⑵ 進行性核上性麻痺早期の易転倒、垂直性核上性注視麻痺、頸部優位の固縮、レボドパ無効が典型的です。
- ⑶ 筋萎縮性側索硬化症ALSでは上位・下位運動ニューロン徴候がみられ、本例は腱反射正常で合いません。
- ⑷ 特発性正常圧水頭症正常圧水頭症は歩行障害・認知症・尿失禁が三徴で、眼球運動障害はみられません。
- ⑸ 血管性Parkinson 症候群血管性Parkinson症候群は下肢優位の歩行障害が主で、垂直性注視麻痺は特徴ではありません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。易転倒性、上下方向の眼球運動制限(垂直性核上性注視麻痺)、四肢より頸部優位の筋強剛(体幹・頸部の固縮)、レボドパ無効という経過は進行性核上性麻痺に典型的です。MRI正中矢状断では中脳被蓋の萎縮によるハチドリ徴候がみられ、ドパミントランスポーターSPECTでは線条体の集積低下を示すのが一般的です。Parkinson病との違いは、早期からの後方への転倒、垂直性眼球運動障害、レボドパ反応不良です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成