40 歳の男性。頭痛を主訴に来院した。10 年前から高血圧症に対して自宅近くの診…
40 歳の男性。頭痛を主訴に来院した。10 年前から高血圧症に対して自宅近くの診療所からアンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬が処方されていたが、内服は不定期であった。約2 週間前から頭痛と全身倦怠感が出現し、次第に増悪したため受診した。息切れはない。体温36.4 ℃。脈拍88/分、整。血圧240/140mmHg。項部硬直はない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部に血管雑音はない。両下腿に圧痕性浮腫を認める。尿所見:蛋白3 +、潜血2 +。血液生化学所見:尿素窒素60 mg/dL、クレアチニン4.2 mg/dL、尿酸7.0 mg/dL、Na 139 mEq/L、K 3.4 mEq/L、Cl 104 mEq/L、Ca 8.8 mg/dL、P 5.0 mg/dL。腹部超音波検査で両腎は軽度萎縮しているが左右差はなく、水腎症は認めない。4 週間前の定期血液検査ではクレアチニン値は1.5 mg/dL であった。まず行うべき対応はどれか。
- ⑴ 経過観察臓器障害を伴う高血圧緊急症であり、経過観察では腎障害などが進行します。
- ⑵ 緊急血液透析K 3.4mEq/Lで肺水腫や尿毒症症状もなく、現時点で緊急透析の適応はありません。
- ⑶ グルココルチコイドの投与糸球体腎炎を示す所見はなく、ステロイドは血圧をさらに上昇させます。
- ⑷ カルシウム拮抗薬の持続静脈投与ニカルジピンなどの持続静注で調節しながら段階的に降圧するのが基本です。
- ⑸ アンジオテンシン受容体拮抗薬の投与急速に悪化する腎機能下でARBを開始すると腎機能悪化や高K血症の危険があります。
解説
正解は⑷です。著明な血圧上昇(240/140mmHg)に頭痛と、4週間でクレアチニン1.5から4.2mg/dLへの急速な腎機能悪化を伴っており、高血圧緊急症(加速型-悪性高血圧)と考えられます。ニカルジピンなどのカルシウム拮抗薬の持続静注で、最初の1時間は平均血圧の25%以内の降圧を目安に慎重に下げます。現時点で高カリウム血症や肺水腫など緊急透析の適応はありません。急性腎障害の状態でRA系阻害薬を新たに開始するのは避けます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成