35 歳の男性。頭部を打撲したため救急外来を受診した。約1 時間前に運動中に転倒…
35 歳の男性。頭部を打撲したため救急外来を受診した。約1 時間前に運動中に転倒し後頭部を打撲した。受傷時に意識消失は認めなかった。来院時、意識は清明。①軽度の頭痛と②後頸部痛を訴えている。身長168 cm、体重65 kg。③体温37.3 ℃。脈拍76/分、整。血圧124/78mmHg。呼吸数20/分。神経診察で脳神経系に異常を認めず、四肢の麻痺も認めないが、④打撲時から現在までの記憶がない。⑤打撲部位の圧痛を認めたが、同部位に肉眼的な異常は認めなかった。下線部のうち、頭部CT を行うべき所見はどれか。
- ⑴ ①軽度の頭痛は頭部打撲後に一般的にみられ、それだけではCTの適応の根拠になりません。
- ⑵ ②後頸部痛は頸椎の評価の対象で、頭部CTの適応の根拠にはなりません。
- ⑶ ③体温37.3℃は頭部CTの適応の根拠になりません。
- ⑷ ④打撲時からの記憶がない健忘は、意識障害や脳損傷の可能性を示し、頭部CTを行うべき所見です。
- ⑸ ⑤打撲部の圧痛のみで骨折の徴候がなければ、頭部CTの適応の根拠になりません。
解説
正解は⑷です。頭部外傷後に頭部CTを行うべきかどうかは、Canadian CT Head Ruleなどの基準で判断します。高リスク因子には、受傷後2時間でのGCS 15未満、開放骨折や陥没骨折の疑い、頭蓋底骨折の徴候、2回以上の嘔吐、65歳以上があり、中等度リスク因子には受傷前30分以上の逆行性健忘や危険な受傷機転があります。本例は受傷時から現在までの記憶がない外傷後健忘を認め、意識障害が存在した可能性を示すため、頭部CTを行うべき所見です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成