65 歳の女性。右変形性膝関節症のため、右人工膝関節置換術が予定されている。術前…
65 歳の女性。右変形性膝関節症のため、右人工膝関節置換術が予定されている。術前評価のため受診した。6 か月前から右膝の痛みが出現し、徐々に悪化し、歩けなくなった。整形外科を受診し、手術適応となった。3 か月前に乳癌の手術を受け、薬物による抗癌治療中である。仕事は事務職でデスクワークが主体である。意識は清明。身長149 cm、体重68 kg。体温36.0 ℃。脈拍84/分、整。血圧150/70mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96 %(room air)。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。右下肢に圧痕性浮腫を認める。血液所見:赤血球414万、Hb 11.3 g/dL、Ht 36 %、血小板23 万、PT-INR 0.9(基準0.9~1.1)、D ダイマー9.0 μg/mL(基準1.0 以下)。血液生化学所見:尿素窒素30 mg/dL、クレアチニン2.0 mg/dL、血糖105 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.6 mEq/L、Cl 107mEq/L、Ca 9.2 mg/dL。CRP 0.8 mg/dL。この時点で実施すべき検査はどれか。
- ⑴ 腹部単純CT腹部単純CTは深部静脈血栓症の診断には役立ちません。
- ⑵ 腎シンチグラフィ腎シンチグラフィは分腎機能の評価に用い、この時点で優先される検査ではありません。
- ⑶ 下肢動脈造影検査下肢の動脈閉塞を示す所見はなく、侵襲的な下肢動脈造影は不要です。
- ⑷ 下肢静脈超音波検査片側下肢の浮腫とDダイマー高値から深部静脈血栓症を疑い、下肢静脈超音波検査を行います。
- ⑸ 足関節上腕血圧比〈ABI〉ABIは末梢動脈疾患の評価に用い、深部静脈血栓症の診断には役立ちません。
解説
正解は⑷です。乳癌で薬物療法中の患者に、片側(右下肢)の圧痕性浮腫とDダイマーの著明な上昇を認め、変形性膝関節症で歩行が困難になり活動量も低下しています。担癌状態、化学療法、肥満、不動はいずれも静脈血栓塞栓症の危険因子であり、深部静脈血栓症が強く疑われます。手術前に下肢静脈超音波検査で血栓の有無と範囲を確認することが必要で、血栓があれば抗凝固療法を行い、手術時期を検討します。術中・術後の肺塞栓症を防ぐことが重要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成