62歳の男性。1時間前から胸を締めつけられるような痛みが続き、冷や汗を伴って救急…
62歳の男性。1時間前から胸を締めつけられるような痛みが続き、冷や汗を伴って救急搬送された。心電図で、Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導にST上昇を認め、Ⅰ、aVL誘導にST低下を認める。脈拍48/分。閉塞している可能性が最も高い冠動脈はどれか。
- ⑴ 前室間溝を下って前壁を養う左前下行枝左前下行枝の閉塞では胸部誘導のV1〜V4などにST上昇が出ます。下壁の誘導の変化とは合いません。
- ⑵ 左の房室間溝を回って側壁を養う回旋枝回旋枝の閉塞ではⅠ、aVL、V5、V6などの側壁の誘導に変化が出ることが多く、この心電図とは合いません。
- ⑶ 左前下行枝から分かれて中隔を養う枝中隔枝の閉塞では前壁中隔の誘導に変化が出ます。下壁の誘導のST上昇は説明できません。
- ⑷ 心臓の右側を回って下壁を養う右冠動脈Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導のST上昇は下壁の梗塞を示し、下壁の多くは右冠動脈が養います。洞結節や房室結節への枝も出すため徐脈を伴いやすいです。
- ⑸ 左冠動脈の起始部である左主幹部の本幹左主幹部の閉塞では広い範囲の心筋が障害され、多くの誘導で変化が出て重いショックに陥ります。
解説
心臓の右側を回って下壁を養う右冠動脈の閉塞が最も考えられます。Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導は心臓の下壁を反映し、ここにST上昇があると下壁の急性心筋梗塞を示します。Ⅰ、aVL誘導のST低下は鏡像変化です。下壁の多くは右冠動脈が養い、右冠動脈は洞結節や房室結節への枝も出すため、徐脈や房室ブロックを伴いやすいのも特徴です。
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