44 歳の男性。下腹部痛を主訴に来院した。昨日落馬して会陰部を打撲した後から排尿…
44 歳の男性。下腹部痛を主訴に来院した。昨日落馬して会陰部を打撲した後から排尿を認めない。意識は清明。体温36.4 ℃。脈拍88/分、整。血圧142/86mmHg。会陰部の皮下に出血斑を認める。血液所見:赤血球348 万、Hb 11.4 g/dL、Ht 33 %、白血球8,800、血小板20 万。血液生化学所見:総蛋白6.8 g/dL、アルブミン3.6 g/dL、尿素窒素22 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL。CRP 0.4 mg/dL。腹部超音波検査で多量の尿で拡張している膀胱を認める。逆行性尿道造影検査で膀胱は描出されなかった。適切な対応はどれか。
- ⑴ 骨盤MRI骨盤MRIは診断の補助にはなりますが、尿閉の解除にはなりません。
- ⑵ 膀胱鏡検査膀胱鏡は損傷した尿道を通して挿入する必要があり、損傷を悪化させるおそれがあります。
- ⑶ 膀胱瘻造設尿道を経由せずに尿路を確保できる膀胱瘻造設が適切です。
- ⑷ NSAID 投与NSAIDは疼痛を和らげても尿閉は解除できません。
- ⑸ 膀胱カテーテル留置尿道損傷が疑われる状況での尿道カテーテル挿入は、損傷を悪化させるおそれがあります。
解説
正解は⑶です。落馬で会陰部を打撲(騎乗型損傷)した後から排尿ができず、膀胱は尿で拡張しており、逆行性尿道造影で膀胱が描出されないことから、球部尿道の完全断裂が考えられます。尿道損傷が疑われる場合に尿道からカテーテルを挿入すると損傷を悪化させるおそれがあるため、まず恥骨上からの膀胱瘻造設で尿路を確保します。その後、損傷の程度に応じて待機的に尿道形成術などを行います。会陰部の皮下出血も尿道損傷を示唆する重要な所見です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成