診断に有用なのはどれか。
75 歳の男性。転びやすさを主訴に来院した。現病歴 : 3 年前から、就寝中に大きな声で寝言を言ったり、手足をバタバタ動かしたりしていることに妻が気付いていた。同時期から高度な便秘を自覚するようになった。1 年前から、物忘れが多くなり、日付や予定を何度も妻に確認するようになった。同時期から、①壁の模様や汚れを見て、虫が這っていると言って殺虫剤を噴霧するようになった。②入浴はひとりで可能で、③尿失禁はないが、日によっては、妻が話しかけても反応が鈍く、友人に会っても④あいさつをしなくなった。また、⑤自分が無力だと考えるようになった。1 か月前からは、動作が遅くなり、転びやすくなったため心配した家族に付き添われて受診した。既往歴 : 60 歳から高血圧症で降圧薬を服用している。生活歴 : 70 歳の妻と2 人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 父は脳梗塞で70 歳時に死亡。母は胃癌で65 歳時に死亡。現 症 : 意識は清明。身長170 cm、体重65 kg。体温36.5 ℃。脈拍68/分、整。血圧136/82mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール16 点(30 点満点)、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉19 点(30 点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢に筋力低下は認めない。四肢に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、Babinski 徴候は陰性。歩行はやや前傾姿勢で、歩幅は小刻みである。
診断に有用なのはどれか。
- ⑴ FDG-PETFDG-PETでは後頭葉の代謝低下がみられることがありますが、指標的バイオマーカーとしてはDAT scanが重視されます。
- ⑵ 頸椎単純CT頸椎単純CTは本症の診断には役立ちません。
- ⑶ 頸部超音波検査頸部超音波検査は頸動脈病変の評価に用い、本症の診断には役立ちません。
- ⑷ 脳血管造影検査脳血管造影検査は血管病変の評価に用い、変性性認知症の診断には役立ちません。
- ⑸ ドパミントランスポーターシンチグラフィ線条体へのドパミントランスポーターの取り込み低下を示し、レビー小体型認知症の診断に有用です。
解説
正解は⑸です。ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DAT scan)は線条体のドパミン神経終末の脱落を評価する検査で、レビー小体型認知症では集積の低下を認め、Alzheimer型認知症との鑑別に有用です。レビー小体型認知症の診断基準では、DAT scanでの取り込み低下、MIBG心筋シンチグラフィでの取り込み低下、睡眠ポリグラフでの筋緊張低下を伴わないレム睡眠が指標的バイオマーカーとされています。後頭葉の血流・代謝低下もみられますが、選択肢の中では最も有用です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成