98 歳の女性。家族から呼吸が止まったと往診依頼があった。5 年前に脳梗塞を発症…
98 歳の女性。家族から呼吸が止まったと往診依頼があった。5 年前に脳梗塞を発症し、3 年前から寝たきりとなり、訪問診療を受けている。本人の意向で積極的な治療は行わずに在宅看取りの方針であった。1 か月前からほとんど食事が摂れなくなり、体重が減少してきた。2 週間前から傾眠状態となり、ここ数日は体を揺すっても反応がなかった。本日未明に依頼があり、早朝に往診した。家族によると4 時間前に呼吸が止まったという。診察を行い、瞳孔散大、呼吸停止および心停止を確認した。背中にはわずかに死斑が出現し、顎関節には死後硬直が出現していた。身体に外傷はなく、るいそうと脱水所見を認めた。経過と死体所見から老衰による死亡と判断した。死亡診断書の直接死因欄に記載するのはどれか。
- ⑴ 老衰他に死因となる疾患のない高齢者の自然死であり、直接死因として老衰と記載します。
- ⑵ 心不全心不全は死亡時の状態を表す用語で、マニュアルでは死因として書かないよう求められています。
- ⑶ 脳梗塞脳梗塞は5年前の発症で、今回の直接死因とは判断されていません。
- ⑷ 呼吸不全呼吸不全も終末期の状態を示す用語で、死因としては記載しないよう求められています。
- ⑸ 不詳の死経過と所見から老衰と判断できており、不詳の死には当たりません。
解説
正解は⑴です。高齢者で、他に記載すべき死亡の原因がなく、いわゆる自然死である場合には、死亡診断書の直接死因欄に「老衰」と記載します。厚生労働省の死亡診断書記入マニュアルでも、老衰は他に死因となる疾患がない高齢者の自然死に用いるとされています。本例は寝たきりで徐々に食事が摂れなくなり、外傷もなく、経過と死体所見から老衰による死亡と判断されています。心不全や呼吸不全は終末期の状態を表すもので、死因としては用いないよう求められています。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成