64 歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。3 年前から労作時の呼吸困難が出現し自…
64 歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。3 年前から労作時の呼吸困難が出現し自宅近くの診療所から吸入抗コリン薬を処方されている。1 か月前から呼吸困難が増強したため紹介受診した。吸入薬は医師の指示どおり吸入できている。職業は60 歳まで公務員で以後は無職。喫煙は20 歳から61 歳まで20 本/日。身長168 cm、体重41 kg。体温36.2 ℃。脈拍68/分、整。血圧146/78mmHg。呼吸数20/分。SpO2 94 %(room air)。6 分間歩行試験でSpO2 の最低値は92 %(room air)であった。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫大を認めない。気管の短縮を認める。心音に異常を認めない。両側胸部で呼吸音の減弱を認める。下腿に浮腫を認めない。血液所見:赤血球524 万、Hb 15.6 g/dL、白血球7,800(桿状核好中球10 %、分葉核好中球50 %、好酸球1 %、単球9 %、リンパ球30 %)、血小板21 万。血液生化学所見に異常を認めない。CRP 0.1 mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41、PaCO2 42 Torr、PaO2 88 Torr、HCO3⁻24 mEq/L。呼吸機能検査:%VC 85 %、FEV1% 50 %。胸部エックス線写真で両側横隔膜の平底化および両肺の過膨張を認める。適切な対応はどれか。2 つ選べ。
- ⑴ 抗菌薬の投与発熱や膿性痰、炎症反応上昇はなく、増悪の原因として感染は考えにくいため、抗菌薬は不要です。
- ⑵ 免疫抑制薬の投与COPDに免疫抑制薬を用いる根拠はありません。
- ⑶ 呼吸リハビリテーション呼吸リハビリテーションは呼吸困難を軽減し、運動耐容能と生活の質を改善するため適切です。
- ⑷ ネーザルハイフロー療法PaO2 88 Torrで運動時のSpO2も保たれており、酸素療法やネーザルハイフローの適応はありません。
- ⑸ 長時間作用性β2 刺激薬吸入の追加単剤で症状が残る場合はLAMAとLABAの併用に強化するのが標準的です。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶と⑸です。長期喫煙歴、FEV1% 50%の閉塞性障害、胸部エックス線での過膨張と横隔膜平底化、気管短縮からCOPDと診断できます。吸入抗コリン薬(長時間作用性抗コリン薬)を正しく使用しても呼吸困難が増強しているため、日本呼吸器学会のガイドライン(2025年時点)に沿って長時間作用性β2刺激薬を追加します。非薬物療法として呼吸リハビリテーションも呼吸困難の軽減と運動耐容能の改善に有効です。PaO2は保たれ、酸素療法の適応はないと判断します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成