救急外来で小児を診察した研修医から指導医への報告を以下に示す。研修医:「1 歳の…
救急外来で小児を診察した研修医から指導医への報告を以下に示す。研修医:「1 歳の男児です。3 日前から37 ℃台の発熱、咳嗽、鼻汁が出現し、夜中に咳嗽が増強したため来院しました。身長80.0 cm、体重11 kg。体温37.8 ℃。脈拍124/分、整。血圧88/56mmHg。呼吸数28/分。SpO2 がroom air で95 % です」指導医:「どんな感じの咳ですか」研修医:「オットセイが鳴くような咳です」指導医:「呼吸状態はどうですか」研修医:「胸骨上窩、鎖骨上窩に陥没呼吸がみられます」指導医:「胸部の聴診所見はどうですか」研修医:「吸気時に喘鳴を聴取します」指導医:「治療はどうしますか」これに続く研修医の返答で適切なのはどれか。
- ⑴ 「人工呼吸管理を行います」SpO2は保たれており、まず薬物療法で浮腫を改善させます。人工呼吸管理は重症で改善しない場合に考慮します。
- ⑵ 「β2 刺激薬吸入を行います」β2刺激薬は気管支喘息などの下気道狭窄に用いる薬で、声門下浮腫による上気道狭窄には効果が乏しいです。
- ⑶ 「アドレナリン吸入を行います」アドレナリン吸入はα作用による血管収縮で声門下の浮腫を速やかに軽減し、クループの治療として適切です。
- ⑷ 「抗ヒスタミン薬静注を行います」抗ヒスタミン薬は声門下浮腫の改善には役立ちません。
- ⑸ 「副腎皮質ステロイド吸入を行います」クループではステロイドを経口または注射で全身投与するのが標準で、吸入ステロイドは第一選択ではありません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。1歳児に感冒症状が先行し、夜間に増悪するオットセイが鳴くような犬吠様咳嗽、吸気性喘鳴、陥没呼吸を認めることから、急性喉頭気管気管支炎(クループ症候群)と考えられます。声門下の浮腫が病態で、中等症以上ではアドレナリン吸入で速やかに浮腫を軽減し、あわせてデキサメタゾンの経口投与などで副腎皮質ステロイドを全身投与します。アドレナリンの効果は一時的なため、吸入後は症状の再燃に注意して観察します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成