70 歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。2 週間前から全身倦怠感が持続し、2…
70 歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。2 週間前から全身倦怠感が持続し、2 日前に家族から顔色不良を指摘されたため受診した。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮膚に点状出血や皮疹を認めない。血液所見:赤血球170 万、Hb 5.2 g/dL、Ht 15 %、網赤血球5 %、白血球2,800(芽球0 %、分葉核好中球30 %、好酸球1 %、単球2 %、リンパ球67 %)、血小板8.8 万。血液生化学所見:総蛋白6.7 g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.7 mg/dL、AST 26 U/L、ALT 22 U/L、LD 140 U/L(基準124~222)、尿素窒素14 mg/dL、クレアチニン0.6 mg/dL、Fe 80 μg/dL、総鉄結合能〈TIBC〉300 μg/dL(基準290~390)、フェリチン110 ng/mL(基準20~120)、エリスロポエチン10 mIU/mL(基準4.2~23.7)。骨髄は過形成で、骨髄塗抹標本での芽球割合は0.3 % で3 系統の造血細胞に異形成を高頻度に認めた。骨髄細胞の染色体は正常核型であった。適切な治療はどれか。
- ⑴ 血漿交換血漿交換は血栓性血小板減少性紫斑病などで行う治療で、骨髄異形成症候群には用いません。
- ⑵ 赤血球輸血症状のある高度貧血に対し、赤血球輸血で速やかに貧血を改善させるのが適切です。
- ⑶ グルココルチコイド投与グルココルチコイドは自己免疫性溶血性貧血などに用いますが、骨髄異形成症候群の標準治療ではありません。
- ⑷ トロンボポエチン受容体作動薬投与血小板8.8万で出血症状もなく、トロンボポエチン受容体作動薬の適応はありません。
- ⑸ 顆粒球コロニー刺激因子〈G-CSF〉投与好中球数は約840/μLで感染症もなく、G-CSF投与の必要性は乏しいです。
解説
正解は⑵です。高齢者の汎血球減少で、骨髄は過形成、芽球は少なく、3系統に高頻度の異形成を認めることから骨髄異形成症候群と診断できます。正常核型で芽球も少ない低リスク群に当たり、治療の目的は造血の改善と症状の緩和です。Hb 5.2 g/dLの高度貧血で全身倦怠感があるため、まず赤血球輸血を行います。低リスクの貧血には赤血球造血刺激因子製剤なども用いられますが、選択肢の中で今行うべきは輸血です。頻回輸血では鉄過剰症に注意します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成