65 歳の男性。血痰を主訴に来院した。2 年前から労作時の息苦しさと咳嗽とを自覚…
65 歳の男性。血痰を主訴に来院した。2 年前から労作時の息苦しさと咳嗽とを自覚していたがそのままにしていた。数日前から痰に少量の血液が混じるようになったため受診した。喫煙は20 本/日を45 年間。意識は清明。身長172 cm、体重43 kg。体温37.2 ℃。脈拍96/分、整。血圧124/68 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 93 %(room air)。心音に異常を認めず、呼吸音は右胸部にcoarse crackles を聴取する。血液所見:赤血球468 万、Hb 12.2 g/dL、Ht 37 %、白血球12,300(桿状核好中球10 %、分葉核好中球64 %、好酸球1 %、好塩基球1 %、単球6 %、リンパ球18 %)、血小板34 万。免疫血清学所見:CRP 3.2 mg/dL、β-D- グルカン35 pg/mL(基準10 以下)。喀痰の抗酸菌塗抹検査は陰性。Sabouraud 寒天培地では糸状菌が検出された。胸部単純CT(別冊No. 12)を別に示す。診断はどれか。
- ⑴ カンジダ症カンジダは酵母様真菌で、糸状菌ではありません。肺炎の起炎菌としてもまれです。
- ⑵ アスペルギルス症糸状菌でβ-D-グルカンが上昇し、既存の肺病変に慢性感染をつくる代表的真菌です。
- ⑶ クリプトコックス症クリプトコックスは莢膜を持つ酵母様真菌で、β-D-グルカンは上昇しにくいことが知られています。
- ⑷ ニューモシスチス肺炎ニューモシスチスは培養できず、HIV感染など細胞性免疫不全者に急性のびまん性肺炎を起こします。
- ⑸ アレルギー性気管支肺真菌症アレルギー性気管支肺真菌症は喘息と好酸球増多、IgE高値を伴う病態で、本例の所見とは合いません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。長期喫煙歴があり、慢性閉塞性肺疾患などの既存の肺病変を背景に、2年来の咳嗽と呼吸困難、血痰、るいそう、β-D-グルカン上昇を認め、Sabouraud寒天培地で糸状菌が検出されています。糸状菌で肺に慢性の病変をつくる代表はアスペルギルスで、既存の空洞内の菌球や慢性進行性肺アスペルギルス症が考えられます。CT画像は本文から確認できませんが、空洞壁の肥厚や菌球像が典型です。治療にはボリコナゾールなどを用います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成