64 歳の女性。空腹時の動悸と発汗を主訴に来院した。1 か月前から、朝食後に外出…
64 歳の女性。空腹時の動悸と発汗を主訴に来院した。1 か月前から、朝食後に外出すると、昼食前に空腹感とともに動悸、発汗および手指振戦を自覚している。これらの症状は甘いものを摂取すると改善する。既往歴に脂質異常症、耐糖能異常、慢性甲状腺炎および胆石症があり、脂質異常症に対してスタチンを内服している。身長156 cm、体重62 kg。体温36.2 ℃。脈拍72/分、整。血圧142/88mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液生化学所見:AST 28 U/L、ALT 32 U/L、 γ-GT 72 U/L(基準 9 ~32)、血糖110 mg/dL、HbA1c 6.1 %(基準4.9~6.0)、総コレステロール182 mg/dL、トリグリセリド180 mg/dL、HDL コレステロール38 mg/dL、TSH 1.2 μU/mL(基準0.2~4.0)、FT41.4 ng/dL(基準0.8~2.2)。症状の原因と関連するのはどれか。
- ⑴ 高血圧症血圧はやや高めですが、高血圧症で糖分摂取により改善する発作性の動悸・発汗は説明できません。
- ⑵ 更年期障害更年期障害でも発汗や動悸は起こりますが、64歳であり、食後数時間後に出現し糖分で改善する経過とは合いません。
- ⑶ 血糖値の異常食事との時間関係と糖分摂取による改善から、低血糖による症状と考えられます。
- ⑷ スタチン内服スタチンの代表的な副作用は筋障害や肝障害で、低血糖発作の原因にはなりにくいです。
- ⑸ 慢性甲状腺炎TSH、FT4は正常で甲状腺機能は保たれており、慢性甲状腺炎は症状の原因と考えられません。
解説
正解は⑶です。食後数時間たった昼食前に空腹感、動悸、発汗、手指振戦が出現し、糖分の摂取で改善する経過は、交感神経症状を伴う低血糖発作に典型的です。耐糖能異常があり、食後のインスリン分泌が遅れて過剰になる反応性低血糖が考えられ、症状の原因は血糖値の異常です。甲状腺機能は正常で、慢性甲状腺炎による甲状腺中毒症は否定されます。発作時の血糖測定や75gOGTTの延長法、インスリノーマの除外が次の評価として重要になります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成