70 歳の男性。発熱と喀痰を主訴に来院した。7 日前に発熱が出現し、自宅近くの診…
70 歳の男性。発熱と喀痰を主訴に来院した。7 日前に発熱が出現し、自宅近くの診療所を受診したところインフルエンザと診断された。治療によって一旦は解熱したが、昨日から再び発熱したため受診した。既往歴に糖尿病がある。意識は清明。体温38.9 ℃。脈拍120/分、整。血圧90/62mmHg。呼吸数28/分。SpO2 92 %(room air)。呼吸音は胸部全体でcoarse crackles を聴取する。血液所見:赤血球466 万、Hb 13.9 g/dL、Ht 47 %、白血球19,300(桿状核好中球5 %、分葉核好中球83 %、好酸球1 %、好塩基球0 %、単球1 %、リンパ球10 %)、血小板26万。血液生化学所見:血糖180 mg/dL、HbA1c 8.2 %(基準4.9~6.0)。CRP 15 mg/dL。胸部単純CT(別冊No. 9A)と喀痰Gram 染色標本(別冊No. 9B)を別に示す。血液培養検査でも同じ微生物が検出された。原因微生物はどれか。
- ⑴ Candida albicansカンジダは免疫不全者の血流感染などの原因になりますが、市中の二次性肺炎の起炎菌としてはまれです。
- ⑵ Legionella pneumophilaレジオネラはGram染色で染まりにくく、インフルエンザ後の二次性肺炎の典型的な起炎菌ではありません。
- ⑶ Mycoplasma pneumoniaeマイコプラズマは細胞壁を欠きGram染色で観察できず、若年者の非定型肺炎が典型です。
- ⑷ Pseudomonas aeruginosa緑膿菌は院内肺炎や慢性気道疾患の患者で問題となり、インフルエンザ後の市中肺炎としては典型的ではありません。
- ⑸ Staphylococcus aureusインフルエンザ後の二次性細菌性肺炎の代表的起炎菌で、集簇するGram陽性球菌として観察されます。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。画像は本文から確認できませんが、インフルエンザ罹患後にいったん解熱して再び発熱し、糖尿病を背景に血圧低下、白血球増多を伴う重症肺炎で、菌血症も伴っています。インフルエンザ後の二次性細菌性肺炎の起炎菌として肺炎球菌と並んで重要なのが黄色ブドウ球菌で、喀痰Gram染色ではブドウの房状に集簇するGram陽性球菌を認めるのが典型です。CTでは多発結節影や空洞形成を伴うことがあり、MRSAも念頭に置いた治療を行います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成