この患者への説明で正しいのはどれか。
23 歳の女性。最近、普段と様子が違うことを心配した母親に伴われて精神科を受診した。現病歴 : 6 か月前から気分が沈み、自宅近くの内科診療所を受診し、抗うつ薬が処方された。1 か月前から遅くまで働いた後に友人と外出し、帰宅後は明け方まで電話をするようになった。毎日出社していたが、取引先とトラブルを繰り返すようになった。抗うつ薬は処方されたとおりに服用していた。既往歴 : 特記すべきことはない。生活歴 : 両親と3 人暮らし。大学卒業後、会社に就職している。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 特記すべきことはない。現 症 : 意識は清明。多弁で気分が高揚している。身長160 cm、体重53 kg。体温36.2 ℃。脈拍76/分、整。血圧114/66mmHg。呼吸数15/分。SpO2 99 %(roomair)。神経診察で異常を認めない。
この患者への説明で正しいのはどれか。
- ⑴ 「転職を考えてみましょう」躁状態での重大な決断は避けるべきで、転職を勧めるのは不適切です。
- ⑵ 「薬を変える必要があると思います」抗うつ薬による躁転が考えられ、気分安定薬などへの変更が必要です。
- ⑶ 「精神疾患とは考えないでよいでしょう」躁状態は双極性障害などの症状であり、精神疾患として治療が必要です。
- ⑷ 「このまましばらく様子をみてみましょう」トラブルを繰り返しており、治療せずに様子をみるのは不適切です。
- ⑸ 「元気なうちにやり残した仕事をしてしまいましょう」躁状態の活動性をさらに高め、問題を悪化させるため不適切です。
解説
正解は⑵です。抗うつ薬の服用中に躁状態が出現しており、双極性障害が考えられます。双極性障害の抑うつ状態では、抗うつ薬単独の使用は躁転や病相の不安定化を招くため避けるべきとされています。抗うつ薬を中止・減量し、炭酸リチウムやバルプロ酸などの気分安定薬、あるいは一部の非定型抗精神病薬へ変更する必要があります。躁状態は精神疾患の症状であり、経過観察や仕事を促す対応は不適切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成