1 か月の男児。生後20 日頃から母乳を飲むのに時間がかかるようになったことを母…
1 か月の男児。生後20 日頃から母乳を飲むのに時間がかかるようになったことを母親が心配し、両親に連れられて自宅近くの小児科診療所を受診した。在胎40週、身長49.5 cm、体重2,850 g、頭囲33 cm で、仮死なく出生した。出生後は完全母乳栄養である。身長54.0 cm、体重3,320 g。体温36.8 ℃。脈拍124/分、整。呼吸数40/分。啼泣時の表情は正常だが、声が小さく舌が細かくぴくぴくと震えている。呼吸時に胸部と腹部が交互に上がる。手指の動きは正常だが、四肢を持ち上げる運動に乏しい。両親への説明で正しいのはどれか。
- ⑴ 「人工乳に変えましょう」哺乳障害は筋力低下によるもので、乳汁の種類を変えても改善しません。
- ⑵ 「感冒薬を服用しましょう」感冒ではなく神経筋疾患が疑われ、感冒薬は無効です。
- ⑶ 「専門の病院に紹介しましょう」脊髄性筋萎縮症が疑われ、早期診断・治療のため専門施設への紹介が必要です。
- ⑷ 「1 か月後に再受診してください」進行が速く呼吸不全に至り得るため、1か月待つのは不適切です。
- ⑸ 「うつ伏せにして寝かせましょう」乳幼児突然死症候群の危険を高め、呼吸筋力低下児では特に危険です。
解説
正解は⑶です。乳児期早期から哺乳力が低下し、啼泣が弱く、舌の線維束性収縮、四肢近位の運動低下、胸郭と腹部が逆方向に動く奇異呼吸(シーソー呼吸)がみられることから、脊髄性筋萎縮症Ⅰ型が強く疑われます。Ⅰ型は進行が速く呼吸不全に至りますが、2024年時点ではヌシネルセンや遺伝子治療薬などの治療法があり、早期治療ほど効果が高いため、速やかに専門の病院へ紹介します。経過観察は不適切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成