61 歳の男性。右胸痛を主訴に来院した。3 か月前から胸痛を自覚していたが、1 …
61 歳の男性。右胸痛を主訴に来院した。3 か月前から胸痛を自覚していたが、1 週間前から痛みが増強したため受診した。体温36.9 ℃。脈拍84/分、整。血圧132/80mmHg。呼吸数16/分。SpO2 95 %(room air)。心音に異常を認めない。右呼吸音の減弱を認める。血液所見:赤血球471 万、Hb 11.0 g/dL、Ht 36 %、白血球9,200、血小板58 万。血液生化学所見:SCC 0.7 ng/mL(基準1.5 以下)、ProGRP 23.8 pg/mL(基準81 以下)。CRP 17 mg/dL。胸膜生検でカルレチニン免疫組織化学染色が陽性である悪性細胞を認めた。胸部エックス線写真(別冊No. 19A)とFDG-PET/CT 像(別冊No. 19B)を別に示す。この疾患で誤っているのはどれか。
- ⑴ 上皮型が最も多い。上皮型、肉腫型、二相型のうち上皮型が最も多く、正しい記述です。
- ⑵ 予後は不良である。診断時に進行していることが多く、予後不良で正しい記述です。
- ⑶ CEA は正常値である。腺癌と異なりCEAは通常上昇せず、鑑別の参考となり正しい記述です。
- ⑷ 胸水中ヒアルロン酸は高値である。中皮腫では胸水中ヒアルロン酸が高値となることが多く、正しい記述です。
- ⑸ アスベスト曝露後5 年前後で発症する。アスベスト曝露から発症までの潜伏期は30〜40年程度と長く、この記述が誤りです。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。胸膜生検でカルレチニン陽性の悪性細胞を認め、悪性胸膜中皮腫と考えられます。悪性胸膜中皮腫はアスベスト曝露から30〜40年程度という長い潜伏期間を経て発症するため、5年前後という記述が誤りです。組織型は上皮型が最も多く、予後は不良です。腺癌と異なりCEAは通常正常で、胸水中のヒアルロン酸が高値となることが診断の参考になります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成