35歳の経産婦。妊娠40週で、陣痛が強く進んでいる最中に、破水の直後から急に息苦…
35歳の経産婦。妊娠40週で、陣痛が強く進んでいる最中に、破水の直後から急に息苦しさを訴え、顔色が悪くなって意識がもうろうとした。血圧64/30 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度は78%に下がった。その後、性器から血液が固まらずに流れ出てきた。最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 羊水の成分が母体の血中に入り、呼吸と循環が急に悪化した。分娩中の急な呼吸困難、ショック、固まらない出血は羊水塞栓症を強く疑わせます。
- ⑵ 胎盤が子宮の出口をふさいでいて、そこから出血している。前置胎盤からの出血では、急な呼吸困難や低酸素は起こりません。
- ⑶ 妊娠中の血圧の上昇によるけいれん発作が起きている。子癇ではけいれんが中心で、血圧は高くなります。本例は血圧が大きく下がっています。
- ⑷ 子宮の筋肉が分娩後に十分に縮まず、出血している。弛緩出血は分娩後に起こる出血で、分娩中の急な呼吸困難とショックは説明できません。
- ⑸ 陣痛の痛みで過呼吸になり、手足がしびれている。過換気では酸素飽和度は下がらず、ショックや出血傾向は起こりません。
解説
羊水の成分が母体の血液中に入り、急な呼吸と循環の障害と出血傾向が起きた羊水塞栓症が最も考えられます。分娩中や分娩直後に、破水などをきっかけに羊水の成分が母体の血管に入ると、急な呼吸困難、低酸素、ショックが起こり、続いて血液が固まらなくなる播種性血管内凝固による大量出血を起こします。発症はまれですが母体死亡の重要な原因で、呼吸と循環の管理、凝固因子の補充を急いで行います。
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