64歳の男性。肺癌で治療中である。1週前から息切れが強くなり、本日は横になれなく…
64歳の男性。肺癌で治療中である。1週前から息切れが強くなり、本日は横になれなくなって救急搬送された。脈拍120/分、血圧84/62 mmHgで、息を吸うと収縮期血圧が20 mmHg低下する。頸静脈が怒張し、心音は遠く小さい。肺の音に異常はない。心電図では全誘導で波の振れ幅が小さい。まず行う治療として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 硝酸薬を舌の下に含ませ、心臓にかかる負担を軽くする。血管を広げると心臓への血液の戻りが減り、低血圧が悪化するおそれがあります。
- ⑵ 心臓を包む膜の中に針を刺し、たまった液を抜く。心膜腔にたまった液で心臓が広がれない心タンポナーデで、心嚢穿刺で液を抜くことが救命につながります。
- ⑶ 胸腔にドレーンを入れて、肺の周りにたまった液を抜く。肺の音に異常はなく、問題は胸腔ではなく心臓を包む膜の中の液です。
- ⑷ 冠動脈造影を行い、狭くなった血管を風船で広げる。心筋梗塞の所見はなく、心膜にたまった液による循環の障害が原因です。
- ⑸ 利尿薬を静脈から投与し、体にたまった水分を尿として出す。心臓に戻る血液が減って心拍出量がさらに落ち、血圧が下がるおそれがあります。
解説
心臓を包む膜の中に針を刺し、たまった液を抜くのが最も適切です。癌の転移などで心膜腔に液がたまると、心臓が広がれず血液を十分に送り出せなくなります。低血圧、頸静脈の怒張、心音の減弱がそろい、吸気時に血圧が大きく下がる奇脈や、心電図の低電位が見られれば心タンポナーデを考えます。超音波で確かめ、心嚢穿刺で液を抜きます。利尿薬や血管拡張薬は血圧をさらに下げます。
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