1歳6か月の男児。入浴中に母親が腹部のふくらみに気づいた。元気で食欲もある。右上…
1歳6か月の男児。入浴中に母親が腹部のふくらみに気づいた。元気で食欲もある。右上腹部に、表面がなめらかで硬い大きな腫瘤を触れる。黄疸はない。血清α-フェトプロテインが著しく高値である。腹部CTで肝臓の右葉に大きな腫瘍を認める。最も考えられる病気はどれか。
- ⑴ 慢性の肝炎を背景に、成人の肝臓に生じる悪性腫瘍肝細胞癌は主に成人で慢性肝疾患を背景に生じ、1歳半の健康な児では考えにくいです。
- ⑵ 腎臓から生じ、腹部の片側に大きな腫瘤を作る腫瘍腎芽腫は腎臓から生じ、α-フェトプロテインは上がりません。CTで肝臓の腫瘍が確認されています。
- ⑶ 胎児期の肝細胞に似た細胞から生じる、乳幼児の肝臓の悪性腫瘍乳幼児の大きな肝腫瘍と著しいα-フェトプロテイン高値は肝芽腫の特徴で、化学療法と手術で治療します。
- ⑷ 副腎や交感神経節から生じ、尿中のカテコールアミン代謝物が増える腫瘍神経芽腫では尿中のカテコールアミン代謝物が上がり、α-フェトプロテインの著しい上昇は典型的ではありません。
- ⑸ 肝臓の中に液体がたまる、生まれつきの良性の袋肝嚢胞は柔らかく、α-フェトプロテインは上がりません。
解説
胎児期の肝細胞に似た細胞から生じる肝芽腫が最も考えられます。肝芽腫は乳幼児に最も多い肝臓の悪性腫瘍で、元気な児の腹部の大きな腫瘤として見つかることが多く、血清α-フェトプロテインが著しく上昇するのが特徴です。化学療法で腫瘍を縮小させたうえで手術で切除し、切除できない場合は肝移植を検討します。神経芽腫や腎芽腫とは発生部位と腫瘍マーカーで区別します。
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