48歳の男性。慢性腎不全で透析を受けており、妻からの生体腎移植を検討している。A…
48歳の男性。慢性腎不全で透析を受けており、妻からの生体腎移植を検討している。ABO血液型は一致している。移植前の検査で、男性の血清と妻のリンパ球を混ぜるクロスマッチ検査が陽性であった。この結果が示す意味として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 男性がウイルスに感染している証拠で、移植後に感染症が起こりやすいことを示す。クロスマッチはドナーの細胞に対する抗体を見る検査で、ウイルス感染を調べるものではありません。
- ⑵ 妻の腎臓が男性の体によくなじむ組合せで、拒絶はほとんど起こらないと予想される。クロスマッチ陽性はなじむことではなく、ドナーへの既存の抗体があることを示す危険な所見です。
- ⑶ 妻のリンパ球が男性を攻撃する反応で、移植片対宿主病が起こりやすいことを示す。クロスマッチは受け手の血清中の抗体を見る検査です。移植片対宿主病の予測に用いるものではありません。
- ⑷ 男性の体には妻の細胞に対する抗体が既にあり、移植直後に強い拒絶が起こりうる。クロスマッチ陽性はドナーに対する抗体が既にあることを示し、そのまま移植すると移植直後から超急性拒絶反応が起こる危険があります。
- ⑸ 妻の腎機能が低下していることを示し、ドナーとして不適格であることを意味する。クロスマッチはドナーの腎機能を評価する検査ではありません。腎機能は別の検査で確かめます。
解説
男性の体には妻の細胞に対する抗体が既にあり、移植直後に強い拒絶が起こりうることを示しています。輸血や妊娠、過去の移植などで、ドナーのHLAに対する抗体が受け手に作られていることがあります。この抗体があると、移植した腎臓の血管内皮に結合して移植直後から血栓を作り、移植腎が働かなくなる超急性拒絶反応が起こります。クロスマッチ陽性では、抗体を減らす処置を行うか、移植を見合わせます。
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