33歳の女性。妊娠32週。妊娠高血圧症候群で通院中である。本日、突然持続する強い…
33歳の女性。妊娠32週。妊娠高血圧症候群で通院中である。本日、突然持続する強い下腹部痛が起こり、少量の暗赤色の性器出血を伴って受診した。子宮は板のように硬く、触れると強く痛がる。胎児心拍数は低下している。最も考えられる病態はどれか。
- ⑴ 胎児が娩出される前に、正常な位置の胎盤が子宮の壁からはがれている。妊娠高血圧症候群を背景に、持続する腹痛、板状に硬い子宮、胎児の状態悪化を伴う出血は常位胎盤早期剝離の典型です。
- ⑵ 胎盤が子宮の出口をおおう位置にあり、子宮が伸びる時に出血している。前置胎盤の出血は痛みを伴わないことが特徴で、子宮が板状に硬くなることもありません。
- ⑶ 子宮の壁にできた筋腫が変性し、その部分に強い痛みが生じている。筋腫の変性でも腹痛は起こりますが、子宮全体が板状に硬くなり胎児心拍が低下することは説明できません。
- ⑷ 陣痛が始まって子宮の出口が開きつつあり、粘液に血が混じっている。陣痛では子宮は収縮と弛緩を繰り返します。持続する痛みと板状の硬さ、胎児の状態悪化は説明できません。
- ⑸ 子宮の頸管が痛みなく開いてしまい、胎胞が外に出かかっている。頸管無力症は痛みを伴わずに子宮口が開く状態で、強い腹痛や板状の子宮とは合いません。
解説
正常な位置の胎盤が、胎児の娩出前に子宮の壁からはがれる常位胎盤早期剝離が最も考えられます。妊娠高血圧症候群は重要な危険因子です。はがれた部分の出血が子宮内にたまるため、外に出る出血は少なくても、持続する強い腹痛と板のように硬い子宮が見られます。胎盤の機能が失われて胎児の状態が急速に悪化し、母体には播種性血管内凝固が起こりやすく、緊急の娩出が必要です。
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