養護教諭は、A 君の状況を校長に伝え、その日の午後に開かれた校内委員会で共有した…
次の文を読み54、55 の問いに答えよ。A 君(中学1年生)は、母親と養父、最近生まれた妹と4人家族である。学校には休まず通っており、クラスでは無口だが暴力的になることがあった。ある日の朝、A君の顔に片目全体を覆うようなあざがあることに気づいて学級担任や複数の教員が声をかけたところ、A 君は「自転車に乗っていてぶつけた」と答えた。昼休みに、掃除当番で保健室にきたA 君に、養護教諭がそれとなく「どんなふうにけがをしたの?」と尋ねた。すると、A 君は養父からよく殴られることを打ち明けて「このことは誰にも言わないでほしい」と言った。養護教諭は虐待の可能性があると考えて、A 君が打ち明けてくれたことを肯定しながらA 君の目の周りや心身の状態を観察しつつ、話を聴いた。
養護教諭は、A 君の状況を校長に伝え、その日の午後に開かれた校内委員会で共有した。これまでのA 君の家庭に関する情報を集約した結果、虐待の疑いが強まり、児童相談所に通告することになった。また、養護教諭から母親に電話し、A君の目の周りのあざについて眼科医療機関の受診を勧めた。翌日、A 君は普段通りに登校し学級担任に受診報告があった。その後、養父から学校に電話があり、学級担任に「A は家の中でケガをしただけだ。なにか家のことを話したのではないか。話した内容を教えるように」と威圧的な態度で要求してきた。この後、養護教諭や教職員が行う学校の対応で、最も優先されるのはどれか。
- ⑴ A 君に眼科受診後の養父の様子を聞く。本人に尋ねることは負担が大きく、家庭で話したことが知られる危険もあります。
- ⑵ 養父の言動を児童相談所と情報共有する。養父の言動は安全に直結する情報であり、通告先の児童相談所と速やかに共有すべきです。
- ⑶ 目の周りのあざの経過観察を両親に依頼する。虐待が疑われる保護者に経過観察を委ねることは、安全の確保になりません。
- ⑷ 養父に学校に来てもらいA 君の学校生活について話をする。学校が単独で養父と話し合うことは、A君への報復を招くおそれがあります。
解説
正解は⑵です。養父が学校に対して威圧的に情報を求めてきたことは、A君の安全に直結する重要な変化です。すでに通告している児童相談所とこの言動を速やかに共有し、A君の安全確認と今後の対応を一緒に検討することが最も優先されます。本人に養父の様子を聞いたり、両親に経過観察を委ねたり、養父を学校に招いて話をしたりすることは、A君を危険にさらしかねません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-03_04_05.html)を加工して作成