感染症の原因菌の同定には、菌体のタンパク質を分析対象として、イオン化部にマトリッ…
感染症の原因菌の同定には、菌体のタンパク質を分析対象として、イオン化部にマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、質量分離部に飛行時間型質量分析計(TOF-MS)を用いる MALDI-TOF-MS が利用されている。この質量分析法に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ マトリックスと混合されたタンパク質は、高電圧を印加したキャピラリー先端から噴霧してイオン化される。高電圧を印加したキャピラリー先端から噴霧するのはエレクトロスプレーイオン化(ESI)法です。
- ⑵ タンパク質と混合するマトリックスには、レーザー光を吸収する化合物が選択される。MALDIのマトリックスにはレーザー光を吸収してエネルギーを試料に伝える化合物が選ばれます。
- ⑶ 質量分離部では検出器までの飛行時間が短いほど、タンパク質イオンの m/z値は小さい。TOF-MSでは飛行時間がm/zの平方根に比例するため、飛行時間が短いほどm/zは小さくなります。
- ⑷ この質量分析法の装置は、高速液体クロマトグラフやキャピラリー電気泳動装置と直接接続して用いる。MALDIは固体試料をレーザーでイオン化する方式で、LCやCEとの直接接続には通常ESIが用いられます。
- ⑸ マススペクトルには、タンパク質にマトリックスの質量が付加されたイオンピークが主に観測される。主に観測されるのはプロトン付加分子[M+H]⁺などで、マトリックス付加イオンが主ではありません。
解説
正解は⑵と⑶です。MALDIでは、試料をレーザー光を吸収するマトリックス(シナピン酸、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸など)と混合して結晶化させ、レーザー照射でマトリックスがエネルギーを吸収して試料を気化・イオン化させます。TOF-MSでは一定の電圧で加速したイオンの飛行時間がm/zの平方根に比例するため、飛行時間が短いほどm/zは小さくなります。高電圧のキャピラリーから噴霧するのはESIで、LCやCEとの直接接続にもESIが用いられます。主に観測されるのはプロトン付加分子[M+H]⁺です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成