禁煙療法に用いられた薬物の構造から、ニコチン性アセチルコリン受容体との相互作用に…
35 歳女性。喫煙歴15 年(1 日20 本)。以前から、ニコチンガムやニコチンパッチによる禁煙を試みたが失敗を繰り返していた。今回、禁煙外来を受診し、ニコチン受容体の部分刺激薬であるバレニクリン酒石酸塩錠による禁煙を試みることになった。女性は、医療機関でニコチン置換療法とは異なる治療法であると説明を受け禁煙に意欲的だが、また失敗するのではないかと不安にもなっている。
禁煙療法に用いられた薬物の構造から、ニコチン性アセチルコリン受容体との相互作用に関わる化学的性質として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ バレニクリンの共役酸のpKa は4 付近である。バレニクリンの第二級アミンの共役酸の pKa は約9 で、4付近ではありません。
- ⑵ 共に生体内でカチオン性を示す窒素原子をもつ。両者とも生体内でプロトン化されてカチオン性を示す窒素原子をもち、受容体と相互作用します。
- ⑶ バレニクリンには鏡像異性体が存在する。バレニクリンは分子内に対称面をもつため、鏡像異性体は存在しません。
- ⑷ ニコチンの不斉炭素は R 配置である。天然のニコチンの不斉炭素は S 配置です。
- ⑸ ニコチンのsp² 混成窒素は水素結合受容体として働く。ニコチンのピリジン環の sp² 混成窒素は、水素結合受容体として働きます。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵と⑸です。ニコチンのピロリジン窒素とバレニクリンの第二級アミン窒素は、いずれも塩基性が強く、生体内ではプロトン化されてカチオンとなり、受容体の芳香族アミノ酸とカチオン-π相互作用をします。また、ニコチンのピリジン環の sp² 混成窒素は水素結合受容体として働きます。バレニクリンの共役酸の pKa は約9 と高く、分子内に対称面があるため鏡像異性体はありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成