80歳の女性。肺炎で入院し、広域の抗菌薬で治療を受けて10日目に、水様の下痢が1…
80歳の女性。肺炎で入院し、広域の抗菌薬で治療を受けて10日目に、水様の下痢が1日に何回も続くようになった。便の検査で、この下痢の原因となる菌の毒素が検出された。この病原体の特徴として、正しいのはどれか。
- ⑴ 加熱した米飯の中で増える菌で、つくられた嘔吐毒は食後1〜6時間で症状を起こす。セレウス菌の特徴で、入院中の抗菌薬治療のあとに続く下痢の原因とは合いません。
- ⑵ ベロ毒素をつくる大腸菌で、加熱が不十分な牛肉を介して感染し、溶血性尿毒症症候群を起こす。腸管出血性大腸菌の特徴で、抗菌薬の使用で腸内細菌叢が乱れた入院患者の下痢とは経過が異なります。
- ⑶ エンベロープをもたないウイルスで、次亜塩素酸ナトリウムでは不活化できない。細菌の毒素が検出されている点で合いません。また、ノロウイルスなどは次亜塩素酸ナトリウムで不活化できます。
- ⑷ 芽胞をつくる偏性嫌気性菌で、芽胞にはアルコールが効きにくく、石けんと流水で手を洗う。クロストリディオイデス・ディフィシルの芽胞はアルコールに抵抗性で、手洗いで物理的に除きます。
- ⑸ 胃の粘膜に定着するらせん状の菌で、尿素を分解して周りのpHを上げて生き延びる。これはヘリコバクター・ピロリの特徴で、抗菌薬の投与後に起こる下痢の原因菌ではありません。
解説
正解は、芽胞をつくる偏性嫌気性菌で、流水と石けんでの手洗いが必要というものです。広域の抗菌薬で腸内細菌叢が乱れると、クロストリディオイデス・ディフィシルが増えて毒素を産生し、下痢や偽膜性大腸炎を起こします。芽胞はアルコールに抵抗性で環境に長く残るため、手洗いと接触予防策、環境の清掃が感染対策の中心になります。ほかの選択肢は、別の病原体の特徴です。
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