悪性リンパ腫の58歳の男性。初めての化学療法を始めて2日後、尿量が減り、血液検査…
悪性リンパ腫の58歳の男性。初めての化学療法を始めて2日後、尿量が減り、血液検査で血清の尿酸、カリウム、リンが高く、カルシウムが低かった。この病態についての説明として、正しいのはどれか。
- ⑴ 抗利尿ホルモンの不適切な分泌による病態で、水分の摂取を厳しく制限することが治療の中心となる。抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の特徴は低ナトリウム血症で、この検査値の組合せとは異なります。
- ⑵ 抗がん薬による骨髄抑制が原因で、顆粒球コロニー刺激因子を投与すれば検査値も改善する。骨髄抑制は白血球の減少を起こしますが、尿酸、カリウム、リンの上昇の原因ではありません。
- ⑶ 腫瘍がつくる副甲状腺ホルモン関連たんぱく質による高カルシウム血症で、ビスホスホネート系薬が第一選択となる。この患者では血清カルシウムは低下しており、高カルシウム血症の説明には合いません。
- ⑷ がん細胞が一度に壊れて起こる腫瘍崩壊症候群で、十分な輸液と尿酸を下げる薬で予防を図る。腫瘍量が多く薬の効きやすいがんで起こりやすく、尿酸やリン酸カルシウムが腎臓に沈着して腎障害を起こします。
- ⑸ 筋肉の細胞が壊れる横紋筋融解症で、筋肉痛と赤褐色の尿が最初に現れる特徴がある。化学療法の直後に尿酸、カリウム、リンが上がる状況は、筋肉ではなく腫瘍細胞の崩壊によるものです。
解説
正解は⑷です。腫瘍崩壊症候群は、増殖の速い腫瘍が化学療法で一度に大量に壊れ、細胞内のカリウム、リン、核酸が血中に放出されて起こります。核酸は分解されて尿酸となり、高尿酸血症、高カリウム血症、高リン血症と、リンと結合することによる低カルシウム血症が起こります。尿酸やリン酸カルシウムが腎臓に沈着すると急性腎障害になるため、十分な輸液と尿酸を下げる薬で予防します。
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