光を吸収して励起状態になった分子が、エネルギーを失って基底状態へ戻る過程にはいく…
光を吸収して励起状態になった分子が、エネルギーを失って基底状態へ戻る過程にはいくつかの道筋がある。光の吸収と放出に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 赤外線の吸収は、原子核のスピンの向きが変わることで起こり、分子の官能基の確認に用いられる。赤外線の吸収は分子の振動の状態が変わることで起こります。核のスピンが関わるのは核磁気共鳴です。
- ⑵ 内部転換は、光を放出しながら別の電子状態へ移る過程で、蛍光の強さを高める方向に働く。内部転換は光を放出しない無放射の過程で、蛍光の強さを弱める方向に働きます。
- ⑶ 蛍光は、励起一重項状態から基底状態へ戻るときに放出される光で、吸収した光より波長が長い。励起状態で振動のエネルギーの一部を失ってから発光するため、蛍光は励起光より長い波長になります。
- ⑷ りん光は、項間交差で生じた励起三重項状態から放出される光で、蛍光より発光の寿命が長い。三重項から一重項への遷移は起こりにくいため、りん光は長く続きます。
- ⑸ 消光は、励起状態の分子が他の分子と衝突することで、放出される光が強まる現象である。消光は衝突などで励起のエネルギーが失われ、蛍光が弱まる現象です。
解説
正解は⑶と⑷です。光を吸収した分子は、まず励起状態の中で振動のエネルギーを失ってから、励起一重項状態から光を出して基底状態に戻ります。これが蛍光で、失ったエネルギーの分だけ吸収した光より波長が長くなります。項間交差で励起三重項状態に移った分子から出る光がりん光で、遷移が起こりにくいため寿命が長くなります。光を出さずにエネルギーを失う内部転換や、他の分子による消光は蛍光を弱めます。
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