慢性心不全の75歳の男性にジゴキシンが処方された。ジゴキシンが直接の標的とする分…
慢性心不全の75歳の男性にジゴキシンが処方された。ジゴキシンが直接の標的とする分子と、それによって心筋の収縮力が強まるしくみとして、正しいのはどれか。
- ⑴ 細胞膜のナトリウム・カリウムポンプを阻害し、細胞内に増えたナトリウムがカルシウムの排出を減らす。ポンプの阻害でナトリウム・カルシウム交換によるカルシウムの汲み出しが減り、収縮力が強まります。
- ⑵ ホスホジエステラーゼⅢを阻害し、cAMPの分解を抑えて心筋細胞内のカルシウムを増やす。ホスホジエステラーゼⅢの阻害はミルリノンなどの作用です。
- ⑶ 心筋のトロポニンCのカルシウム感受性を高め、同じカルシウム濃度でも強い収縮を起こさせる。カルシウム感受性を高めるのはピモベンダンなどの作用で、ジゴキシンの機序とは異なります。
- ⑷ 心筋のβ1受容体を刺激し、細胞内のcAMPを増やしてカルシウムチャネルからの流入を高める。β1受容体の刺激はドブタミンなどの作用で、ジゴキシンの標的ではありません。
- ⑸ 心筋のL型カルシウムチャネルを開き、細胞外からのカルシウムの流入を直接増やして収縮を強める。ジゴキシンはカルシウムチャネルを直接開く薬ではありません。
解説
正解は⑴です。ジゴキシンは心筋細胞膜のナトリウム・カリウムポンプ(ナトリウム・カリウムATPアーゼ)を阻害します。細胞内のナトリウムが増えると、ナトリウムとカルシウムを交換して汲み出す輸送体の働きが弱まり、細胞内にカルシウムがたまります。その結果、収縮のたびに筋小胞体から放出されるカルシウムが増えて収縮力が強まります。迷走神経を介して房室伝導を遅らせる作用もあります。
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