高血圧で降圧薬を服用している70歳の女性が、こむら返りに対して芍薬甘草湯を毎日続…
高血圧で降圧薬を服用している70歳の女性が、こむら返りに対して芍薬甘草湯を毎日続けて服用していた。2か月後、下肢のむくみと手足の脱力が現れ、血圧が以前より上がり、血液検査で血清カリウム値の低下を認めた。この症状の原因の説明として、最も適切なのはどれか。
- ⑴ 附子に含まれるアコニチン類が神経のナトリウムチャネルに作用し、筋の脱力と血圧の変動を起こした。芍薬甘草湯には附子は含まれず、むくみと低カリウム血症を伴う経過は附子の中毒とは異なります。
- ⑵ 麻黄に含まれるエフェドリンが交感神経を刺激して血管を収縮させ、血圧の上昇と筋の緊張を起こした。芍薬甘草湯には麻黄は含まれず、むくみや低カリウム血症は交感神経の刺激では説明できません。
- ⑶ 甘草の成分の代謝物が腎臓でコルチゾールの不活化を妨げ、ミネラルコルチコイド作用が強まった。偽アルドステロン症の機序で、ナトリウムの貯留とカリウムの排泄が進み、むくみ・高血圧・低カリウム血症が起こります。
- ⑷ 大黄に含まれるセンノシドによる下痢が続き、腸管からカリウムが大量に失われて血清の値が下がった。芍薬甘草湯は芍薬と甘草の2つの生薬からなり、大黄は含まれていません。
- ⑸ 芍薬に含まれるペオニフロリンが副腎皮質を直接刺激し、アルドステロンの分泌が増えてナトリウムが体にたまった。この病態ではアルドステロンの分泌はむしろ抑えられます。原因は甘草の成分による作用の増強です。
解説
正解は⑶です。甘草の主成分グリチルリチン酸の代謝物は、腎臓でコルチゾールをコルチゾンに変える酵素を阻害します。その結果、コルチゾールがミネラルコルチコイド受容体を刺激し続け、ナトリウムと水の貯留、カリウムの喪失が起こります。これが偽アルドステロン症で、むくみ、高血圧、低カリウム血症による脱力などが現れます。甘草は多くの漢方薬に含まれるため、重ねて服用すると起こりやすくなります。
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