抗悪性腫瘍薬シスプラチンは白金を中心とする金属錯体である。シスプラチンの錯体とし…
抗悪性腫瘍薬シスプラチンは白金を中心とする金属錯体である。シスプラチンの錯体としての構造と作用について、正しいのはどれか。
- ⑴ 白金(Ⅱ)を中心に4つの配位子が正四面体形に並び、鏡像の関係にある2種類の光学異性体が存在している。白金(Ⅱ)の4配位錯体は平面四角形をとり、シスプラチンに光学異性体はありません。
- ⑵ 白金(Ⅱ)にアンモニアと塩化物イオンが2つずつ平面四角形に配位し、塩化物イオンどうしが隣り合う。シスプラチンは平面四角形の白金(Ⅱ)錯体で、2つの塩化物イオンがシス位にあることが名前の由来です。
- ⑶ 2つの塩化物イオンが白金をはさんで向かい合うトランス配置をとることで、強い抗腫瘍活性を示している。塩化物イオンが向かい合うトランス体は抗腫瘍活性がきわめて弱く、活性を示すのはシス体です。
- ⑷ 白金原子がDNAのリン酸基の酸素原子と結合し、二本鎖の間に強固な架橋をつくって複製を妨げている。白金が結合するのは主にグアニンの7位の窒素原子で、リン酸基の酸素ではありません。
- ⑸ 細胞内に入るとアンモニアが先に外れ、空いた位置に水分子が配位して反応性の高い形に変わっている。細胞内で外れるのは塩化物イオンで、その位置に水分子が配位して活性化されます。
解説
正解は⑵です。シスプラチンは白金(Ⅱ)に2分子のアンモニアと2個の塩化物イオンが平面四角形に配位した錯体で、塩化物イオンが隣り合うシス配置をとります。細胞外は塩化物イオン濃度が高いため安定ですが、細胞内では塩化物イオンが外れて水分子が配位したアクア錯体となり、DNAのグアニンの7位の窒素原子と結合して鎖内架橋をつくります。トランス体は抗腫瘍活性がきわめて弱いことが知られています。
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