3歳の女児。上顎の乳中切歯と乳側切歯の唇側に、左右対称に、歯冠を横に一周する帯状…
3歳の女児。上顎の乳中切歯と乳側切歯の唇側に、左右対称に、歯冠を横に一周する帯状の白濁とエナメル質の小さな欠けがみられる。在胎30週で生まれ、生後しばらく新生児集中治療室で治療を受けた。家族に同様の歯の異常はない。この歯の異常の成り立ちとして最も適切なのはどれか。
- ⑴ 乳歯を強く打撲したことで、打った1本の歯に白濁と欠けが生じた。外傷による変化は打った歯に限られ、左右対称の帯状の所見とは異なります。
- ⑵ 遺伝によってエナメル質を作る仕組みに異常があり、全身の歯のエナメル質が薄くなった。遺伝性のエナメル質形成不全症では全歯に及び家族歴があることが多く、この症例と合いません。
- ⑶ 砂糖を含む飲み物を長く飲み続けたことで、歯頸部に齲蝕ができた。齲蝕による変化は左右対称に歯冠を一周する帯の形にはなりにくく、出生歴とも合いません。
- ⑷ 形成期に飲料水のフッ化物を多くとりすぎたため、上下の歯に白い縞が現れた。乳歯は胎生期から形成され、フッ化物の過剰による斑状歯は乳歯にはまれです。
- ⑸ 出生の前後の全身の障害によって、その時期に作られていたエナメル質の形成と石灰化が乱れた。早産や新生児期の病気の時期に形成中だった部分が、左右対称の帯状の形成不全として残ります。
解説
最も適切なのは、出生の前後の全身の障害によって、その時期に作られていたエナメル質の形成と石灰化が乱れたことです。乳前歯の歯冠は出生の前後に形成されているため、早産や新生児期の重い病気などの全身の障害があると、その時期に作られていた部分に、左右対称に歯冠を一周する帯状の白濁や欠けが残ります。形成不全の部分は齲蝕になりやすいため、フッ化物の応用と清掃で予防します。
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