78歳の女性。定期健診で、上下の多数の歯の歯頸部より根尖側に、褐色でやわらかい齲…
78歳の女性。定期健診で、上下の多数の歯の歯頸部より根尖側に、褐色でやわらかい齲蝕がいくつも見つかった。歯肉は全体に退縮し、歯根面が露出している。20歳代の人に比べて、高齢者でこの部位の齲蝕が増える理由として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 加齢によって唾液中の重炭酸塩が増え、口腔内が酸性の側へ傾いていくため重炭酸塩は酸を中和する緩衝の成分で、増えれば口腔内は酸性になりにくくなります。
- ⑵ 加齢によって唾液の分泌量が増え、歯根面に細菌が付着しやすくなるため高齢者では薬の副作用などで唾液はむしろ減りやすく、唾液が増えることが原因ではありません。
- ⑶ 加齢によって歯髄腔が大きくなり、歯根の象牙質が内側から薄くなっていくため加齢とともに第二象牙質が添加され、歯髄腔はむしろ狭くなります。
- ⑷ 加齢によってエナメル質が歯根の表面まで伸び、その境目に汚れがたまるためエナメル質は萌出後に新たに作られず、歯根の表面へ伸びることはありません。
- ⑸ 露出した歯根面のセメント質と象牙質は、エナメル質よりも高いpHで溶け始めるため歯根面は無機質が少なく、エナメル質より弱い酸でも脱灰が始まります。
解説
最も適切なのは、露出した歯根面がエナメル質よりも高いpHで溶け始めるためです。加齢や歯周炎で歯肉が退縮すると、本来は歯肉に覆われていた歯根面が口腔内に露出します。歯根面のセメント質と象牙質はエナメル質より無機質が少なく、弱い酸でも脱灰が始まります。さらに高齢者では唾液の減少や清掃の難しさが重なります。根面齲蝕の予防には、フッ化物の応用と歯頸部の清掃が大切です。
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