52歳の女性。下顎右側第三大臼歯の抜歯後に、右の下唇とオトガイ部のしびれが残った…
52歳の女性。下顎右側第三大臼歯の抜歯後に、右の下唇とオトガイ部のしびれが残った。患者は担当の歯科医師に対し、損害賠償を求める民事訴訟を起こした。この訴訟について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 損害賠償を命じる判決が出ると、それによって歯科医師免許はただちに取り消される。民事上の賠償責任と、免許に関する行政処分は別の手続きで判断されます。
- ⑵ しびれという結果が生じた時点で、注意義務を尽くしていたかを問わず過失があったとみなされる。過失は、当時の医療水準に照らして注意義務を尽くしたかで判断され、結果だけでは決まりません。
- ⑶ 同じ抜歯について刑事事件で不起訴になれば、民事訴訟でも賠償責任は認められなくなる。刑事責任と民事責任は目的も判断の基準も異なり、それぞれ別に判断されます。
- ⑷ 抜歯の前に、しびれが残る可能性を説明していなかったことは、責任を問われる根拠になりうる。十分な説明をせずに処置を行うことは説明義務違反として、手技の過失とは別に責任の根拠になります。
- ⑸ 診療録に記載された術前の所見や説明の内容は、診療の経過を示す証拠として重視される。診療録は診療の経過を示す客観的な記録であり、裁判でも重要な証拠になります。
解説
正しいのは、合併症の可能性を説明していなかったことが責任の根拠になりうること、診療録の記載が証拠として重視されることの2つです。医療の民事訴訟では、当時の医療水準に照らして注意義務を尽くしたか、十分な説明をしたうえで同意を得たかが問われます。結果が悪かったことだけで過失とはされません。刑事責任や行政処分とは別の手続きで判断されるため、日頃から説明の内容を診療録に残しておくことが大切です。
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