31 歳の女性。小学生の頃から虚無感を抱くことが多かった。高校では異性との交際が…
31 歳の女性。小学生の頃から虚無感を抱くことが多かった。高校では異性との交際が活発であった。相手に過度に依存的になったかと思うと些細なきっかけで罵倒する行動がみられた。別れを切り出されると自殺をほのめかしたり、リストカットで相手を引き留めようとしたりすることが多く、成人してからも続いた。今回も自傷行為のためパートナーと精神科外来を受診した。この患者の治療法で適切でないのはどれか。
- ⑴ 認知行動療法適切な治療法です。極端な考え方の癖に気づいて修正し、自傷に代わる対処を身につける働きかけとして用いられます。
- ⑵ 力動的精神療法適切な治療法です。幼少期からの虚無感や対人関係の葛藤を無意識の側面から扱い、治療関係の中で理解を深めていきます。
- ⑶ 弁証法的行動療法適切な治療法です。感情の調節や対人関係の技能、苦痛への耐性を訓練し、自傷行為を減らす効果が示されています。
- ⑷ TEACCH プログラム適切でない治療法なのでこれが正答です。自閉スペクトラム症に対し環境を構造化して支援する体系で、この患者の病態には対応しません。
- ⑸ メンタライゼーション療法適切な治療法です。自分と他者の心の状態を推し量る力を育てることで、対人関係の揺れと衝動的な行動の軽減を図ります。
解説
正答は⑷です。TEACCH プログラムは自閉スペクトラム症の人に対し、視覚的な手がかりで環境を構造化して生活を支える支援の体系ですので、境界性パーソナリティ症と考えられる本例の治療法としては適切ではありません。虚無感、対人関係の激しい揺れ、見捨てられ不安に伴う自傷や自殺のほのめかしという特徴には、感情の調節と対人関係の技能を扱う弁証法的行動療法、考え方の癖に働きかける認知行動療法、無意識の葛藤を扱う力動的精神療法、自分と他者の心の状態をとらえる力を育てるメンタライゼーション療法が用いられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-08_09.html)を加工して作成