70 歳の男性。前頭側頭型認知症。元来真面目な性格であった。ここ数年は平気で他人…
70 歳の男性。前頭側頭型認知症。元来真面目な性格であった。ここ数年は平気で他人の物を盗るようになり、注意されても意に介さなくなった。また、些細なことで怒り出すため、対応に困った家族が主治医と相談し、デイケアに通所し、作業プログラムに参加することになった。この患者への対応で適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- ⑴ 抽象的な指示を与える。抽象的な言い方は理解されにくく混乱を招きます。何をどうするかを具体的に短く伝える方が行動につながります。
- ⑵ 作業に失敗したら叱責する。叱責しても行動は改まらず、怒りを引き出して関係を損ないます。この障害では失敗を責めない環境づくりが前提になります。
- ⑶ 作業台の席替えを頻繁に行う。同じ場所と手順を保つことで落ち着いて参加できます。頻繁な席替えは慣れた環境を崩し、混乱や易怒性を強めます。
- ⑷ 道具を見やすいところに置く。道具の位置が一目で分かると、次に何をするかが手がかりとして示され、迷いや逸脱した行動を減らして作業を続けやすくなります。
- ⑸ 作業を決まった手順で行わせる。同じ行動を繰り返す常同性を活かせる対応です。決まった手順にすることで見通しが立ち、落ち着いて作業に取り組めます。
解説
正答は⑷と⑸です。前頭側頭型認知症では抑制が効かなくなって他人の物を持ち去ったり怒り出したりする一方、同じ行動を繰り返す常同性が保たれます。この特徴を活かし、道具を見やすい場所に置いて手に取る流れを分かりやすくし、作業を決まった手順で繰り返し行わせると、混乱や逸脱した行動を減らして落ち着いて参加できます。抽象的な指示は理解が難しく、失敗を叱責しても行動は改まらず反発を招きます。頻繁な席替えは慣れた環境と手順を崩してしまい、いずれも症状を悪化させる対応です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-08_09.html)を加工して作成