33 歳の女性。統合失調症。半年ほど前から「誰かに見張られている」と言い、近隣で…
33 歳の女性。統合失調症。半年ほど前から「誰かに見張られている」と言い、近隣でのトラブルが続いて再入院となった。入院後、生活リズムの改善を目的に本人が希望した手工芸の活動が開始された。作業療法開始3 週で安定して活動に参加できるようになったが、依然として意欲低下があり、活動中に「見張られていて不安だから作業療法をやめたい」と申し出た。この時の作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
- ⑴ 作業種目を変更する。本人が希望して選んだ活動に安定して参加できています。種目を変えると本人の意向を否定することになり、参加の動機を損ないます。
- ⑵ 妄想の内容を詳細に聞き出す。妄想の内容を掘り下げると妄想に注意が集中して訴えが強まりやすく、治療的ではありません。訴えに伴う不安を受け止める対応にとどめます。
- ⑶ 作業療法の参加を直ちに中止する。訴えのたびに中止すると、生活リズムの改善という目的が達成できません。まずは参加を続けられる工夫を試みます。
- ⑷ 手工芸を継続できるような声かけを行う。不安を受け止めながら参加を支える声かけは、本人が希望した活動と生活リズムの改善という目的をともに守る対応で、この場面で最も適切です。
- ⑸ 「見張られている」という事実がないことを説明する。妄想は説明や説得によって訂正できません。事実がないと否定すると本人は理解されないと感じ、信頼関係が崩れてしまいます。
解説
正答は⑷です。「見張られている」という訴えは残っていても、3 週にわたって安定して参加できているのですから、本人が希望した手工芸を続けられるよう支持的に声をかけ、参加の場を保つことが最も適切です。生活リズムの改善という当初の目的にも合います。妄想の内容を詳しく聞き出すと妄想に注意が集中して訴えが強まりやすく、事実がないと説明すれば理解されないと感じて信頼関係が損なわれます。直ちに中止すれば生活リズムを整える機会を失い、種目の変更は本人の希望を無視することになります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-08_09.html)を加工して作成