72 歳の男性。在宅酸素療法中。呼吸困難が増悪したため入院し、作業療法が開始され…
72 歳の男性。在宅酸素療法中。呼吸困難が増悪したため入院し、作業療法が開始された。開始時の胸部CT(別冊No. 3)を別に示す。mMRC はGrade 4 であり、酸素流量は安静時3 L/分、労作時5 L/分であった。この患者の日常生活指導で最も優先されるのはどれか。
- ⑴ 口すぼめ呼吸を指導する。口すぼめ呼吸は有用な指導ですが、在宅酸素療法を要する最重症例では、まず動作の負荷そのものを減らす工夫のほうが優先されます。
- ⑵ 更衣動作は素早く行わせる。素早く行わせると息を止めがちになり、上肢を挙げる動作と重なって呼吸困難が強まります。ゆっくり区切って行うよう指導します。
- ⑶ 呼吸困難時には深呼吸を促す。深く速い呼吸は息を吐ききれないまま肺に空気がたまる動的過膨張を招き、かえって苦しくなります。口すぼめ呼吸でゆっくり吐かせます。
- ⑷ 立ち上がってすぐに移動する。立ち上がりは呼吸が乱れやすい動作です。すぐ移動すると息切れが強まるため、呼吸が整うまで待ってから動き出すよう指導します。
- ⑸ 短時間で動作を区切って休憩する。動作を短く区切って休憩を挟むペーシングは、酸素消費が一度に高まるのを防ぎます。mMRCグレード4の重症例では最も優先される日常生活指導です。
この問題は別冊の図版(写真・標本・心電図など)を見て答えます。図版は転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも所見の読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。mMRCのグレード4は数十メートル歩くだけでも息切れが起こる最重症の段階で、労作時に5L/分の酸素を要することからも、動作そのものの負荷を下げる工夫が最優先になります。一連の動作を短く区切ってこまめに休憩を挟めば、酸素の消費が一度に高まるのを避けられます。呼吸法の指導も有用ですが、この段階では動作の組み立てを変えることが先です。息を止めやすい動作や急な動き出しはかえって呼吸困難を強めるため避けてください。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成